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なんでも外部調達は見直すべきではないか、品質や持続可能性への規制・関心の高まりを受けて-WSJ (2016-03-10)

3月7日のWall Street Journalに"Guest Voices: New Supplier Strategies Revive Important Corporate Questions"という題で、MIT教授のAlexis Bateman氏の寄稿がありました。

記事のざっくりのサマリーは以下:

フォードがゴム農園や鉄鉱山などの原材料供給を自社化するなど、かつては主要材料供給を自社コントロール下に置ける垂直統合が優勢だった。しかし外部調達の道が拓けると、このやり方は流行らなくなった。
しかし原材料調達が規制や企業評判リスクと大きく関わるようになった昨今、垂直統合への回帰が見られる。垂直統合は、規制官庁や消費者が求めるサプライチェーンの透明化に寄与するし、露見すると多額な損失になる奴隷労働、食物汚染、環境破壊の抑止にもなる。

垂直統合化の事例としては、体内埋め込み医療機器の電池を品質保証目的から内製化したBoston Scientific社、持続可能性に反する違法伐採懸念から黒檀材製材所を自社保有に切り替えたTaylor Guitars社、森林破壊と労働搾取が問題視されるヤシ油調達で、オーガニックなヤシ油生産子会社を自ら立ち上げたDr. Bronner社(その結果、Dr. Bronner社は大幅な売上増となった)がある。

勿論、垂直統合はサプライチェーン透明化の万能薬ではないし、長所-欠点の観点から熟慮しなければならない。垂直統合の効用には、社外関係先とのやり取りの手間の削減や、データ把握や意思疎通の容易化がある一方、自前化による資本効率悪化(資金がそこに寝る)や、将来の事業ニーズ変化により内製化した仕組みが不要になるリスクが考えられる。

規制が強化され、企業評判リスクへの懸念が大きくなっている現在、なんでも外部調達ではなく、内製化を再考してみることも必要ではないか、ただし企業戦略との整合性を考慮しつつ。

なんでも外部調達は見直すべきではないか、品質や持続可能性への規制・関心の高まりを受けて-WSJ #COBUY...

It's購買系さんの投稿 2016年3月9日