Blog"   調達購買関連 最新トピックス
VMの供給停止は、自動車業界でのメーカー-サプライヤーの力関係の変化を反映か?(解説記事)-Bloomberg (2016-08-23)

Bloombergのオピニオン記事欄の"Bloomberg Gadfly"で今回のVM供給停止の解説記事が掲載されました。 今回のVMの生産停止は、週5000~7000億ユーロと独コメルツバンクは見積もっており、排ガス不正に比べれば小さいとしながらも、これまで進めてきたサプライヤーに対するコスト削減策への反発は、自動車業界でのメーカー-サプライヤーの力関係の変化が根底にあるのではないかとの記述しています。

なお、VMのサプライヤーへのコスト削減については、8月22日の以下の記事にも説明されています。
(参考記事)VW不正発覚から1年、傷は意外と浅い?~ 独著名アナリスト・ピーパー氏に聞く-日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO06249730Z10C16A8000000/

Bloombergによると、以下のような原因により、メーカー-サプライヤーの力関係が発生しているのではないかとのことです。
・カーメーカーのグローバル展開についてこれるサプライヤーは限られており、取引先の数は増々絞られてきている
・さらに、ZFによるTRW買収のようにサプライヤーの企業規模が拡大している
 (今回のCarTrimもES AutomobilgussもVM以外の他社に広く部品を供給)
・部品電子化の進展に伴い、カーメーカーのサプライヤー依存度がますます高まっている(さらにVWはモジュール化戦略MQBも積極推進)
・この結果、グローバル部品サプライヤーの利益率は、メーカーを凌ぐようになってきている
 (記事の図のように、グローバル部品サプライヤーの利益率がメーカーを超えるようになってきている)

すなわち、15年前に電子電気業界に出現した「スマイルカーブ」の出現をこの記事では想定しているようにも思えます。
日本の自動車部品メーカーの平均利益率は4%程度と言われ、メーカーより低い水準にあります。
しかし自動運転車の増加などを考えると、利益源の移転はありえることに思われます。