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大学調査機関の新レポートは、サプライチェーンCSR監査の有効性に疑問を呈しているが-Forbes (2017-01-18)

サプライチェーン監査、特に民間業者に寄る現行の調査票主体で情報収集する方式は、大した効果がないのではないかとの主張を巡る論考が、1月16日のForbesで報じられました。著者は、この分野の専門性をもつ Procurement Leaders(TM)で Jonathan Webb氏になります。Procurement Leaders(TM) Jonathan Webb氏になります。

シェフィールド大学の調査機関「SPERI」が発表したレポートでは以下が述べられています。

・「サプライチェーン監査が実務上役に立たないというのはCSRの世界での常識」との発言が米国小売業者の前CSR責任者からあるなど、サプライチェーン監査の仕事の有効性は疑わしい。

・調査票方式の情報収集は、実施先企業に都合が良い方向で行われることも多く、本当に悪いことが見えてこない。また、ティア2以下のサプライヤーが調査されることは滅多にない。

しかし記事の著者Jonathan Webb氏は以下のように反論します。

・著者の経験では、サプライチェーン監査に取り組んでいる人たちは熱心である。

・以下のような、別の原因も考えるべきではないか

 1).監査基準(要求事項)が複数種類かつ多岐にわたるため、それに対するサプライヤー側の混乱を招いてしまっている
 2).サプライヤー側の意図的隠蔽があるのではないか。意図的隠蔽を暴き出すのは非常に難しい
 3).限られたリソースで、多国籍大企業のようにティア1だけでも10万社以上に対応しなければならない

・対策としては、質問票調査にとどまらず、幾つかのサプライヤーに対しては詳細な実地調査(物流経路からの追跡、通告なしの訪問を含む)を検討することは有効である。

そしてさらには、民間業者ではなく公的機関が監査に当たるべきというSPERIの主張に対しても、複数国にわたる活動をどこが行えるのかと、適正な批判的論考が展開されています。

興味深く読みました。