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EUの紛争鉱物規則案へも対応開始、JBCEとJEITAが規則合意文書に関する共同声明を発表-ChemicalWatch (2017-02-28)

米国のドット・フランク法第1502条に基づく紛争鉱物規制については、1月31日に共和党よりのSEC臨時委員長が見直しを表明したことは、2月1日に「紛争鉱物規制の見直しにSEC臨時委員長が言及、適用時期遅延や範囲見直しも-Wall Street Journal/Reuter 」としてお伝えしました。その後さらに、2月3日にトランプ政権の金融規制緩和を目的としたドッド=フランク法の見直し指示の大統領令署名により、大幅に雲行きが怪しくなってきています。

一方で別途検討が進んできたEU紛争鉱物規則については、昨年11月22日にEU内での合意に到り、2017年の早い時期に最終確定する予定となっています。その主な特徴は以下になります。

・3TG(スズ・タンタル・タングステン・金)の金属鉱物が対象。

・ただしコンゴ周辺地域といった特定産地に予め限定せず、EUから指定される「紛争地域や紛争高リスク地域」の産ではないことを証明しなければならない。

・証明(デューデリジェンス・チェック)は、OECDガイダンスを適用して行われる。

・対象企業は鉱物を原材料として輸入する企業(精錬業者や輸入事業者)となる。ただし宝飾や歯科治療材料などの特定用途のものを少量輸入する企業は除く。

・従って、鉱物を含む部品や完成品を扱う川下の企業は規制の対象外。しかし従業員500人以上の川下企業では、紛争鉱物資源の調達先のモニタリング状況報告が推奨される。

・順調に立法化が進んだとしても、規制開始は2021年1月1日。

・この規制により、EUに輸入される95%以上の対象金属鉱物は認証(デューデリジェンス)された原材料輸入業者経由のものとなる見込み。

これに対し、2017年2月17日に法人電子情報技術産業協会(JEITA)の責任ある鉱物調達検討会と在欧日系ビジネス協議会JBCE)が「JBCEとJEITAの「紛争鉱物」規則の合意文書に関する共同声明」を出して、EU紛争鉱物規則の方向性に賛意を表すとともに、以下の要請を行いました。

・非EU企業が早期に対応できるように「紛争地域や紛争高リスク地域」の範囲を早く公開してほしい。

・他団体が定義する「紛争地域や紛争高リスク地域」とどう対応させるかのさらなる明確化。

・既存のEUのサプライチェーン・デューデリジェンスのスキームでの判定結果と一元化する。複数併存は企業が混乱する。

・責任ある輸入者、責任ある製錬所及び精製所の明確な認証基準を設定。その際には、既存の Conflict Free Sourcing Initiative (CFSI) and the London Bullion Market Association (LBMA)のものを活用すること。

2021年とまだ先であり、かつ精錬業者や輸入事業者の川上企業が対象のため、多くの日本企業での影響は少ないと思われますが、今後留意が必要と思われます。

参考)
JBCEとJEITAの「紛争鉱物」規則の合意文書に関する共同声明
http://home.jeita.or.jp/mineral/pdf/20170217.pdf

European Commission “EU reaches landmark agreement on conflict minerals regulation”(22 November 2016)
http://trade.ec.europa.eu/doclib/press/index.cfm?id=1587