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日産自動車、ブレクジット対策として英国政府にも140億円の財政支援を要請-Financial Times (2017-03-01)

トランプ政権誕生以降、それまで盛んに囃されてきたメキシコでの完成車および部品メーカーの自動車生産拠点新設計画は逆風下でほぼ立ち消え状態になっています。

一方、メイ首相がハード・ブレクジットを表明した英国では、1986年の操業開始累計900万台を生産してきたサンダーランド工場の将来を危機にさらさないために、日産自動車が英国政府に1億ポンド(約140億円)の財政支出を行なって、英国内での部品サプライヤー育成・誘致を助成する要請したことが、Financial Timesで報じられました。記事タイトルの原文は"Nissan asks for £100m supplier fund to safeguard Sunderland plant"になります。

英国の自動車工場は約6割の部品を国外からの輸入で調達していますが、英国のEU離脱にようポンド安、輸入関税(年間6億ポンドの追加支出と予想)の発生などを考慮すると、政府にも手を打ってもらわないととんでもないことになると、欧州の日産の生産トップは語っています。

またこの政府への要請とは別に、日産自身でも英国サプライヤーからの年間部品購入額にほぼ相当する20億ポンド(2800億円)を費やして、英国でのサプライヤー育成や誘致に充てるとのことです。

グローバル貿易を制限して、自国内で賄おうとすることのコスト高の例として、Financial TimesのBrexit欄で報じられた内容です。

なんとも膨大な金額の話になっています、さらに完成車は自国内で消費しきれずに輸出するときに関税がかかるとなると、もっと大変かもしれません。

参考)
Brexit means taxpayers need to support supply chain, says Nissan-The Guadian
https://www.theguardian.com/business/2017/feb/28/brexit-taxpayers-support-supply-chain-nissan-sunderland-car-auto

Nissan seeks £100m Brexit supply chain fund-CIPS
https://www.cips.org/en/supply-management/news/2017/february/nissan-asks-for-100m-supply-chain-fund-to-protect-uk-car-industry/