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コラボレーションについてサプライヤーはどう思っているかというと、半数はまだまだと回答-3M社調査レポート (2017-06-30)

3M社のサプライチェーン部門が、サプライヤー側から見たコラボレーションのメリットに対する知見を得ようとした調査結果が5月末に公表され、話題になっていましたが、どのような意図で公表されたかが、いまひとつ明確でありませんでした。

ただし、3Mだけでなく、世間一般に役立てようとして公表してくれていることがほぼ明確になってきました。紹介記事の良いものがなく、かつ比較的短い内容のため、以降に全文翻訳してみました。

原文レポートと併せてお読みいただければと存じます。

(参考)
Half of Suppliers Don’t Collaborate with Partners-MH&L
http://mhlnews.com/global-supply-chain/half-suppliers-don-t-collaborate-partners

3M Report Reveals Better Supplier Engagement Could Help Drive Innovation-Sustainable Brands
http://www.sustainablebrands.com/news_and_views/supply_chain/sustainable_brands/3m_report_reveals_better_supplier_engagement_could_he

Supply Chain Report: Why Suppliers Hold Back-Inbound Logistics
http://www.inboundlogistics.com/cms/article/supply-chain-report-why-suppliers-hold-back/

The Case for Collaboration Is Now Common Sense-Forbes
https://www.forbes.com/sites/paulmartyn/2017/06/28/the-case-for-collaboration-is-now-common-sense/

===以降、レポートの翻訳です=============================

サプライヤーとのパートナーシップにより、成長とイノベ-ションを進める:なぜサプライチェーンにおけるサプライヤーとのコラボレーションが不可欠なのか

エグゼクティブ・サマリー
サプライヤー・リレーションシップ・マネジメントは、サプライチェーンでの成功をあげるには、いつも重要でった。サプライヤーと製造業者の間の一貫し、透明性のあるコミュニケーションは不可欠であり、それがコラボレーションを生む。長期にわたるリレーションシップは必須である。サプライチェーンの断絶やその他予測していない事態が発生した場合、サプライヤーとのパートナーシップ構築のために行われてきた投資がかけがえないものとなる。このように製造業者(買い手側)のコラボレーションのメリットはよく知られるところだが、サプライヤーにとっては」どうなのだろうか。

調査対象: 米国の237のサプライヤー
調査時期: 2017年2月
調査理由: サプライヤーが直面している緊急性が高いトレンド、機会、課題(3Mに限定しない)への洞察を得るため

この手のリレーションシップのサプライヤー側についてはほとんど知られていない。サプライチェーンを新技術を使って進展させたり、サスティナビリティの努力をに取り組んでいるのに、サプライヤーにとって何が仕事の効率化につながっているのかを、多くの組織が理解できていないのではないか。3Mは、サプライヤーが直面している緊急性が高いトレンド、機会、課題(3Mに限定しない)への洞察を把握するために、米国の237サプライヤーに対して2017年2月に調査を実施した。ただし調査結果としては、3Mだけでなく、サプライヤーが取引しているすべての顧客や組織への所感を回答してもらった。

コラボレーションが鍵となる
95%のサプライヤーが顧客への供給改善のイノベ-ションや改善提言に何らかの役に立っているとしているが、しかし43%は十分で無いと感じている。

サプライヤーとのパートナーシップはイノベーションと成長を生み出すことができるので、サプライヤーと戦略的なリレーションシップを養っていくことは企業にとって重要である。

しかし実際には、調査したサプライヤーの半分は、それを奨励する姿勢や顧客のオープンさが欠けているいることで、戦略的な提案を行わないでいる。

製品包装の価格低減策であろうと新製品イノベーションであろうと、サプライヤーとのやり取りがうまくできていない組織は、重要な価値創出機会、コスト削減機会、専門知識を手にできないリスクがある。

問題は、奨励する姿勢や顧客のオープンさだけに留まらない。コラボレーションを効率的に行うためのシステムや設備の欠如も問題となる。70%のサプライヤーは、取引顧客の少なくとも半数が、買い手とサプライヤーがコラボレーションを進めるに必要な、しっかりとしたシステムやプロセスを有していないと回答している。このコーディネーションギャップは、効率性や開発機会面でのコスト高へとつながる。

新テクノロジーによる効率性向上
デジタル化戦略から、ロボット、スマートデバイス、大量データまで、グローバルサプライチェーンを維持し続けるシステムとテクノロジーは、大きな変化を遂げている。3Mが調査したサプライヤーによると、

取引顧客の60%が、さらなるデジタル化やネットワーク接続を進めるために、システムやテクノロジーの大規模変更・改善を進めている最中である。

取引顧客の58%が、既に最新のシステムを導入済みである。

サプライヤーの25%が、生産性やコラボレーションに負の影響を及ぼすテクノロジーやシステムをサプライヤーに使わせている取引顧客がいると回答している。

明確で一貫性のあるコミュニケーションを行うために、サプライヤーリレーションシップのデジタル化ニーズはますます強まりつつある。すなわち、コミュニケーションの透明性と双方向情報共有は、サプライチェーンで最も優先度が高くなっている。

しかし、双方向の需要計画を行うに足るしっかりしたシステムをもっている取引顧客は29%に過ぎない。

さらには、サプライチェーン全体にわたる、しっかりとした透明性と可視性を担保できるプラットフォームをもつ取引顧客は23%に過ぎない。

サプライチェーンに関する業界トレンド
2017年のリスク懸念事項
経済および政治の不確実性からサプライチェーン断絶まで、サプライヤーは予測不能なリスクと2017年には対峙している。そこでサプライヤー各社のサプライチェーン担当者に、サプライチェーンが直面する今年の重大リスクを、重大なものから順にリストアップしてもらった。パーセンテージは回答者がトップ懸念事項に上げた比率である。

61%-商品市況価格の不安定
15%-政治の不確実さ
8%-規制順守
7%-ティア2・ティア3サプライヤーのパフォーマンス
6%-自然災害とサプライチェーン断絶
3%-サイバーセキュリティ

コストへの懸念が、サプライヤーにとって断然に大きなリスク領域になった。61%のサプライヤーが商品市況価格の不安定を、2017年の最大リスクとした。2番めの懸念事項は、米国新政権の政治の不確実さで、15%のサプライヤーが2017年の最大リスクと回答した。

最近の重大なセキュリティ漏洩や侵害の相次ぐ発生にもかかわらず、サイバーセキュリティはサプライチェーンの大きな関心事ではないが、サプライチェーンに大きな影響を及ぼす可能性はある。 ただし、サイバーセキュリティをトップの懸念事項としたのは、回答したサプライヤの3%でしかなかった。

サステナビリティは引き続き注目を集めた
企業がサステナビリティを具体的な事業価値と直接的に結びつける状況が継続する中、サプライチェーンサステナビリティと企業の社会責任(CSR)は、引き続き2017年の重要領域となった。事実、サプライヤーの76%が、ビジネス成果向上に結びつくことが、サステナビリティの動機づけになっていると認識している。

それに次ぐサステナビリティとCSRの実践理由は、もっとCSRに有効なサプライヤーチェーンを作り上げたいというサプライヤーの意欲(69%)、コンプライアンス(64%)、ブランドレピュテーション(62%)であった。

サプライヤー/ベンダー・マネージド・インベントリーモデル
買い手とサプライヤーの双方にメリットをもたらすことから、サプライヤー/ベンダー・マネージド・インベントリーモデル、サプライチェーンの基軸として取り上げられてきている。しかし実践し、双方がメリットを得るためには効果的に導入する必要がある。

現在は、35%の組織がベンダー・マネージド・インベントリーモデルの導入促進をしている。次の要因が、サプライヤーをその利用開始や拡大に踏み切らせている。

80%:需要予測がよリ正確でタイムリーになる
80%:さらなるビジネス拡張機会が得られる
62%:情報共有が進む
45%:短期・長期の投資効果期待値が明確になる
43%:契約期間が長期化できる

サプライヤーとのリレーションシップがもたらすもの
サプライヤーとコラボレーションをする組織は、パートナーシップの成果をうまく享受している。これらの企業のサプライヤーは、アイデアを共有し、関係を育むのにはよりオープンであるが、コラボレーションをしなければその大きな価値は手に入らない。