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東電、東北電と送配電連携協議 共同調達でコスト減-日本経済新聞 (2017-07-31)

7月31日の日本経済新聞朝刊で、東京電力と東北電力が送配電事業での資材の共同調達や設備の一体運営などによるコスト削減の協議に入ることが報じられています。電力自由化により、発電、送配電、小売に事業が分割され、2020年から送配電(発電所でつくった電気を家庭や工場といった需要家まで届ける事業)の自由化が行われます。その事業分野に対し、東京電力から電気の周波数帯が同じ東北電力に対し、ケーブルや変電所の設備などの購入を共同で手がけて調達費用を減らすことの事業連携の提案があったとしています。
調達コスト削減については、5月に、「6月の経営新体制の発足を契機に、東電の調達改革は次のステージに入る」として、調達委員会がその成果を発表して役割を終えた実績を持ちます。

ただし、提案を受けた東北電力側は、福島第1原子力発電所事故負担がある東電との取り組み(特に事業統合)には慎重で、「話は伺ってみたい」としています。

参考)
東電、“ぬるま湯”体質脱却へ道筋 調達コスト低減に成果-日刊工業新聞 (2017年5月26日)
https://www.facebook.com/itscobuy/posts/1529277537103485

■関西電力の"厳選"は、ユーザー(要求元)マネジメントの優れた参考事例ではないか
一方で、関西電力は7月6日に「電気料金の値下げについて」のプレスリリースを行い、その参考資料として「経営効率化の取組みについて」という資料を公開しました。

http://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2017/0706_2j.html
http://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2017/pdf/0706_2j_03.pdf

関西電力は、2016年の中期経営計画でも「業界トップクラスの調達効率化の実現」,「不退転の決意で中期経営計画を成し遂げ」といった強い口調で経営効率化というコスト削減を行うことを示していました。

一方で資料「電力会社の調達コスト削減の試み: 第3回 電力託送料金に関する調査会第3回 電力託送料金に関する調査会(http://www.cao.go.jp/consumer/kabusoshiki/kokyoryokin/doc/003_160613_sankou_3.pdf)」では、例えば競争入札比率が平成27年度目標で30%と、調達委員会のもと67%の競争入札比率を達成した東京電力に比べて遥かに遅れを取っているように思われました。

しかし、7月6日の発表資料では、競争入札比率を例にすると、平成27年度で42%, 平成28年度で52%と、東京電力には及ばないものの、前述の政府資料を遥かに超えた進み方になっている模様です。

そして7月6日の資料で散見される用語が「厳選」です。例えば、今後の計画として「事務用品・じゅう器用具などのさらなる厳選 27億円」があります。おそらくは、「厳選」という名のもとに、「無駄書い」をさせない統制がかなりきっちりとできているのではと思われます。7月6日およびそれ以前の経営効率化関連の発表資料を見ると、購買範囲を超えた部分も含めて、社外支出抑制のヒントが多々あるように思えます。