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年金機構、違反把握後も契約見直さず=中国業者再委託-誤入力31万8000人か-時事通信 (2018-03-23)

日本年金機構が契約違反の中国再委託に気づきながらも、期限に間に合わないのでそのまま作業を継続させた」旨を記者会見で発表しています。業務委託側(購買側)の対応方式の問題として考えるべき事件となってきました。

今回の中国業者再委託の件は、以下のような経緯で芋づる式に出てきています。
(1).2月支給分の年金で税金の控除申告への対応手続きが間に合わず、支給額不足が多人数で発生。
(2).年金機構は委託業者がデータを適正に処理をしていなかったミスが原因と発表。
(3).さらに調査が進むと、データ処理業務委託先が再委託していた中国企業の作業に問題があったことが発覚。
(4).そして20日の記者会見で、契約違反の再委託を認識したものの、期限に間に合わないため、契約違反の作業を継続させていたことを公表。

今回の記者会見での判明事項は以下になります。
・今回の事態は、昨年末の内部通報により発覚。
・1月6日に特別監査を実施し、多発している作業遅延やミスの原因を調査した。
・その結果、800人で行うはずの入力作業を200人未満で行うなど契約時の計画と異なる方法で作業を薦めていることが判明。
・さらに、約501万人の受給者の扶養親族の名前の漢字とふりがなの入力作業が中国・大連の会社に再委託されていたことも判明。
・ただし、「繁忙期で代わりの業者が見つからなかった」ことを理由に、契約違反の入力作業を2月13日まで継続させた。

※なお余談ですが作業品質は、501万人のうち約32万人分に誤りがあるなど、エラー率は6%を越えています(読み取り対象によりますが、OCRの誤認識率よりも悪いかもしれません。

今回の業務委託発注は、年金給付部給付業務調整室という購買業務担当と思われる部門から出ていることもあり、契約違反に気づきながら、購買部門がそれを止めずに継続させたコンプライアンス違反事例と思われます。

参考)
マイナンバー連携延期 年金情報再委託 中国業者入力は501万人分-産経新聞
http://www.sankei.com/affairs/news/180321/afr1803210003-n2.html