Blog"   調達購買関連 最新トピックス
「1者入札中止」は抜本的再考、「予定価格の事後公表」は原則的に継続 都監視委が報告書-日本経済新聞 (2018-03-30)

東京都の入札制度改革の試行結果について、手間がかかる「1者入札中止」は抜本的見直しも、予定価格(≒購入予算)の事後公表は「原則として継続すべきだ」と、購買業務的には妥当な内容になったようです。
(なお、検討内容や過程は、購買制度構築時の参考になるかもしれません。)

東京都の入札制度改革は、建設工事関連の入札価格への問題意識から、第2回都政改革本部会議(2016年9月29日)で発足した「内部統制プロジェクトチーム」の検討テーマの1つとなりました。

東京都では、予定価格(その価格を超過した落札不可とする価格)を事前公開していたため、予定価格の99%の落札価格で決着するといった案件が多発し、さらには「1者入札で予定価格の99%落札」という"競争なしに実質予算金額をギリギリまで食う"落札が発生していたとのことです。

これに対して、プロジェクトチームは以下を主要施策とした「入札契約制度改革の実施方針」を昨年3月末に提出しました。

1.予定価格(この価格以上では落札しない価格)の事後公表
2.最低制限価格(これ以下の入札は無効入札とする金額)制度の撤廃
[ただし、低入札価格調査制度の適用範囲を拡大し、入札価格の実行可否をチェックする]
3.JV結成義務(大手ゼネコンは必ず中小建設会社と組んで入札すること)の撤廃
4.1者入札の中止(1者以下の場合は、要件から見直して再入札)
※上記制度については、「東京建設業協会の資料の図(www.token.or.jp/magazine/e201706.html)」がわかりやすく思えます。

そして6月に「東京都の入札契約制度について-東京都財務局」の内容で1年間の試行が行われることになりました。
その試行結果に対する報告書になります。

東京都には適正な予定価格を見積もる能力も、入札者に積算図面や数量等を情報開示する能力もないといった、購買実務担当者には気の毒に思えるような指摘(東京都議会自由民主党:「東京都の東京都の「入札制度改革の実施方針」に対する見解」3~4ページ)も実施に際してはありました。そのような状況での試行でしたが、結論は購買業務的に妥当なところに落ち着いたように思えます。

ただし購買業務の能力不足がまだある場合は、その拡充が今後必要になるのではと思えます。

参考)
入札契約制度改革の実施方針(2017年3月31日)-都政改革会議内部統制プロジェクトチーム
http://www.toseikaikaku.metro.tokyo.jp/kaigi07/04_naibutousei.pdf

東京都の入札契約制度について-東京都財務局(2017年6月)
https://www.e-procurement.metro.tokyo.jp/html/H2906_bid-contract.pdf

東京都の「入札制度改革の実施方針」に対する見解-東京都議会自由民主党
http://www.togikai-jimin.jimusho.jp/wp-content/uploads/2017/05/東京都議会自由民主党%E3%80%80入札制度改革の実施方針に対する見解.pdf

東京都の入札改革、26日から試行 予定価格を事後公表(2017年6月25日)-日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDF25H02_V20C17A6NN1000/

都の入札改革、「工期への影響も検証」監視委(2017年11月23日)-日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO23812760S7A121C1L83000/

※落札率:予定価格に占める落札額の割合