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東南アのパーム油、ITで持続可能に 違法労働・伐採を防止-日本経済新聞 (2019-02-09)

2月8日の日本経済新聞で、パーム油に関する「持続ある調達」対応策の記事が掲載されました。さらに、1月31日には伊藤忠による天然ゴムの原産地追跡が、同じ日本経済新聞に掲載されました。

これらの持続ある調達への対応策に関連する最近の報道をまとめます。

■パーム油(アブラヤシ)
東南アジアのアブラヤシ・プランテーションでは、違法労働や環境破壊(森林伐採)がかねて問題になっていました。その対策に加えて、農園の生産性を向上させるIT化などもまとめた記事が、2月8日の日本経済新聞に掲載されました。主な内容な以下。

・シナルマス・グループ(現地企業)は、GPS位置情報を利用する無人飛行機による肥料散布実験や、実の成熟度合いを画像認識する技術を導入し、生産性を向上させることで、既存面積での収穫量の増加や労働負担の軽減を図り、問題の発生を抑える方向を進める。

・不二製油は現地ユナイテッドプランテーションズとの合弁会社で、搾油後の殻を燃料化し、殻廃棄による環境破壊防止しつつ、エネルギー使用も抑止する方策を実施。

・花王は、各地に分散する零細農園もトレースする、パーム油調達のブロックチェーンシステムを導入。
・ネスレは人工衛星を使い、森林の違法伐採などを監視するシステムを導入。
・なお、東京五輪では認証パーム油を使用する調達基準が策定され、適切に生産された認証がされた認証油の採用を迫られる可能性がある。

■天然ゴム
一方、同じく環境破壊(森林伐採)や違法労働が課題としてあがってきた天然ゴムについて、タイヤ原料となる天然ゴム調達の原産地情報トレースのためのブロックチェーンシステムの実証実験を3月から伊藤忠が始めることが、1月31日に報道されました。スマートフォンをデータ登録に使う仕組みとし、2020年に本格導入予定。

■茶葉
リプトンブランドを有するユニリーバが、茶葉サプライヤーの一覧を公開したことが、1月末に報じられました。茶葉農園での労働条件問題を英国慈善団体のTraidcraft Exchangeが昨年指摘しましたが、それにいち早く対応したとみなされています。ちなみに抹茶の供給先として、日本の株式会社あいやも含まれています。
リストのURLはhttps://cdns.freedomunited.org/wp-content/uploads/2019/01/30120956/unilever-tea-suppliers.pdf

参考)
伊藤忠、天然ゴム調達を透明化 ブロックチェーン活用-日本経済新聞(2019年1月31日)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO4072077031012019TJ2000/

Britain's leading tea brand reveals suppliers in bid to end worker abuses-Reuter (2019年1月30日)
https://www.reuters.com/article/us-britain-tea-sourcing/britains-leading-tea-brand-reveals-suppliers-in-bid-to-end-worker-abuses

Unilever publishes tea supply chain-CIPS(Supply Management)
https://www.cips.org/en-SG/supply-management/news/2019/february/unilever-publishes-tea-supply-chain