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購買業務改革では、ルール遵守、スピード、業務品質、業務コストの釣り合いの取れた姿の実現が重要-マッキンゼー (2019-05-13)

戦略コンサルティング会社のマッキンゼーが、購買業務改革で実現する姿は、ルール遵守(コンプライアンス)、スピード、業務品質、業務コストの4つの釣り合いが取れていることが重要とする論説記事を発表しました。

5月10日に発表された記事は米国の州行政における購買改革について取り上げたものですが、「州行政の購買業務はコンプライアンス(ルール遵守)をやたら重視するがいかがなものか」との組織の特徴的な課題を明示したうえで内容が展開され、一般企業の購買業務改革を考える際にも、十分参考になるものと思えます。

論説記事では、様々な購買品目を扱う州の購買業務は、複雑さが増す環境下で、成果を出すプレッシャーにうめく状況になっているが、これをどうしたら良いのかとの問題提起がまず行われます。

その上で、州の購買業務がうまくいかない理由として「購入までの期間・手順の長さ」「要件の不明確」「成果に基づくサプライヤー評価が民間ほど大胆にできない」「多種多様な要求者・ニーズへの対応の必要」「透明性欠如」「人材不足」があると、明確化します。 その上でさらに、購買部門に必要な4つの要素のうち、州の購買業務はコンプライアンス(ルール遵守)を重視しすぎるあまり、不満を招いているとの特性分析も行っています。

マッキンゼーの提言は、うまくいく購買業務はルール遵守(コンプライアンス)、スピード、業務品質、業務コストの釣り合いが取れている必要があるとされます。一方で、州の購買業務は、コンプライアンスに偏り過ぎる(お役所的に臨機応変さがない)のが不満につながっていることも指摘されます。

ではこの状況を解決するにはどうすればよいのか? 要求元ユーザー(誰のための業務か)を再定義して、購買コア業務領域で4つの要素を釣り合いが取れた状態になるように、業務を設計し直すようにするべきとの提言がされます。

その具体的なアクションとしては、要求元ユーザーの層別化と要求特性定義、購入品目定義、支出可視化の仕方の基本事項をまず明確にしたうえで、業務オペレーションモデルの各要素(組織・ガバナンス、プロセス、人材、システム)を決めていく手順が取られるべきとされています。

加えて、一気に変えるのではなく段階を追って進めることの重要性、あるいは「業務の全体像を見ない視野狭窄」「他部門上層部との理解・協力不足」「変革後に必要な新スキルの欠如」「業務変更への抵抗感」「IT偏重」といった失敗要因の羅列もあるなど、短い文章ですがエッセンスは取り込まれ、一般企業での購買業務変革を考える際にも、十分に役立つと考えられます。