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Coupa(クーパ)がProcure-to-Pay統合ソリューション分野で圧倒的トップ、他社ユーザの業績と比較して改善提案を示す機能が好評-ガートナー年次レポート (2019-08-03)

7月31日に調査会社ガートナーが毎年発表する評価レポート「Magic Quadrant for Procure-to-Pay Suites」の発表があり、Coupaが断トツのトップに立ちました。

これまでは2016年、2018年とAribaとCoupaが並ぶ2強の状況が続いていました(2016年の様子は参考欄のリンク画像で様子が見れます。2018年はこの上下が逆転した状態)。

しかし2019年はCoupaが抜け出すとともに、Aribaが将来ビジョンで評価を下げたため、大きな差になりました。

■Coupa(クーパ)
Coupaの長所として、レポートは「ユーザー他社企業の状況を集約した様々な業績指標の値が表示され、それと自社の対比ができる」機能を強味(Strengths)のトップに挙げています。昨年までの「使い勝手の良さ」は依然継続ですが、その下に位置付けられています。

国内外の企業ともに他社がどうなっているかは非常に気になるところです。その出来具合の自社との対比が常に示されて、さらにその不足への対応策の推奨事項(Recommendations)まで提示されるのは、ユーザー企業にとって大きな魅力と思います。

ガートナーのレポートはユーザー企業の評価に基づきますが、Coupaのデータ共有・活用の思想は、一方で「業界筋」でも大きな反響を呼んでいます。制度化された仕組みはバイアスがかかる可能性もあるし、制度維持のコストもかかる。それに対して、集合知は精度もかなり高く、偏向性のない事実なので、集合知を重視しようの「脱中心」が近年のITソリューションのトレンドです。ブッロクチェーンなどはまさにこの流れの上にあります。

6月のCoupa Inspire'19(年次展示発表会)では「AI(人工知能)、BI(データ可視化)の次は、CI( Community Intelligence:ユーザーの集合知)だ」と、このトレンドに沿ったスローガンが打ち出され、ユーザーの集合知を指標として利用する考え方が強く紹介されました。その結果、Coupaの製品コンセプトは革新的との熱狂が、業界筋の間にも生まれています。一例としては、有力購買情報提供サイトのSpend Matters有料版が、このような革新を生み出すCoupaという企業の組織機能はどうなっているかの、3部作の特集投稿を行ったほど。(Coupaのより詳細は、10月ごろにテンプセモ・ブログにて記述します)。

一方で留意事項(Cautions) には、「直接材を主とするサプライチェーン連携の不足」や「サポートが遅い(そもそも、サポートが不要な使い勝手が良さをCoupaは目指している)」が挙がりました。しかしこれは製品のスコープにも関わるところで、かつ指摘の絶対数はそれほど多くないものがクローズアップされているようにも思えます。

■Ariba(アリバ)
一方で2強から脱落したAribaですが、今年はSAP Intelligent Spend Groupの新体制が結成され、そこでの製品(Ariba-Concur-Fieldgrass)統合への注力があったのではと思います。先日のAriba Live Tokyoでもスムーズな連携のデモが行われていました(レポートでは、まだ難ありとの意見が挙げられていますが)。

さらにレポートでは、技術サポートが最下位、製品拡張面(およびその公表)で下から2番目、料金体系が最下位と随分厳しい評価が連なってしまっています。しかし昨年設定されたユーザー要件吸い上げの仕組み「SAP Ariba Customer Influence」で拾った改善アイデアの導入プロジェクトが20個以上も走っているとのこと。2020年のAribaの巻き返しに期待です。

なお、このレポートは製品レビューとして世界的に最も普及しているものです。製品の実務的能力と将来ビジョンの2軸マトリックスで、製品の位置づけを表すMagic Quadrantが特色です。そして日本に進出しているソリューションとしては、他にJaggaerとOracle Procurement Cloudの評価が掲載されています。

参考)
CoupaとSAP(Ariba/Fieldgrass)の購買ソリューション2強は変わらず-Gartner (2016年7月2日)
https://www.facebook.com/itscobuy/posts/1203897629641479