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価格交渉の未来ーこうしてAIが購買スタッフの仕事を消滅させるーNEC他 (2019-09-05)

人間の知能増幅用AI(Argument Intelligence, 拡張知能)と、人間の知能・判断代行を行うAI(しかも学習により代行能力はどんどん強化される)(artificial intelligence, 真の人工知能)は区別して考えるべきことは、It's購買系ブログ「AI(人工知能)は購買の仕事をどのように奪うのか? (http://www.itscobuy.com/blog/?p=655)」でも取り上げてきました。

そして購買主要業務であり、相応の業務負荷が発生する価格交渉を人工知能が代行する仕組みが、いよいよ実証試験段階(テストベット)に入ることが、8月23日に提案リーダーの日本電気から発表されました。仕組みの名前は「AI間自動交渉プラットフォーム(Negotiation Automation Platform)」。

仕組み概要はリンク先の記事の図がわかりやすいのですが、買い手側と売り手側のAIがやり取りを行い、相手の条件に対応しながら最適解を探り出し、最終判断は人間が行う方式になっています。
ちなみに、やり取りに関わるAIはやり取り都度最適ロジックを学んで、どんどんと賢くなってくはずです。
また、AIの判断ロジックは人間の思考方式と一致しない(思いもよらない学習の仕方をする)ことは、これまでの人工知能のラーニング方式からも明らかになっています。

とすれば、どのような世界が実現するのでしょうか。
次のような状況ではないでしょうか。
1).まず、買い手のAIと売り手のAIが接続された電子市場が形成されています。
2).そこで買い手企業の要求元担当者(非購買部門)が「こんなものが欲しい」とリクエストします。(その際には、要求内容を明確にするための人工知能サポートが利用できるかもしれません)
3).すると、AI間で交渉が始まり、1秒もたたないうちに、要求元担当者には「これでどうですか?(あるいは条件に該当するものがありませんでした)」の最適解が表示されます。

ここでは購買部門の人手でのソーシング(見積を取得し、価格交渉をし、決着をつける)業務は消滅しています。

このような姿は、人工知能の知見者の間では「おそらくそうなるよね」とされていた世界観ですが、いよいよ実現が近づいてきたように思います。

参考)
「複数AIが交渉の利害調整をする検査環境」がIICのテストベッドに承認ーMONOist
https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1908/22/news040.html

「AI間連携基盤技術」のNEDO事業に採択 ~製造・物流現場でのAIによる交渉で業務効率を向上~ーNEC(2018年12月5日)
https://jpn.nec.com/press/201812/20181205_01.html