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瀬戸内サプライヤー網、国内鋼材調達量はトヨタに次ぐ第2位、今治造船の調達構造の特徴ある強みー日刊工業新聞 (2019-10-15)

中国および韓国企業に対して厳しい状況に陥っているとの認識の造船業界ですが、そのような中で、国内首位(世界4位)の今治造船の瀬戸内地区集中が、購買面の有利さを作り出している状況が、10月14日の日刊工業新聞で紹介されました。

今治造船は1980年代からの瀬戸内地区の中小造船会社の合併により、瀬戸内に集中(10工場・12ドック)し、国内新造船竣工量首位の調達・生産体制を作り出してきましたが、その結果として以下の調達面での強みを作り出していることが指摘されています。

・船舶構造部品すべてを瀬戸内域内調達できるサプライヤー網の構築
・国内鋼材調達量が、トヨタに次ぐ第2位で、価格交渉力

まず記事では、「瀬戸内サプライチェーン」もしくは「瀬戸内海事クラスター」と呼ばれる地域で賄える調達網が取り上げられます。 それについて、以下の内容の檜垣社長のコメントが紹介されています。

・造船業はアッセンブリー(組み立て)産業。
・主機関やプロペラ、ボイラや配電盤、甲板機械などの舶用機器メーカーや、自社の部材製造工場は瀬戸内地区に集中している。
・これにより連動した供給・生産が可能になり、かつ輸送コストや輸送期間でも有利である。
・今や生産量で日本を凌ぐに至った中国・韓国端人件費は安いが、23万点の船舶部品は海外(欧州や日本)から輸入するというデメリットがある。
・日本メーカーが海外進出するにも、このサプライヤー群を海外に連れて行かなければならなくなる。
・ゆえに、瀬戸内エリアで全ての調達・生産が賄える今治造船には強みがある。

さらには、瀬戸内地区での鋼材使用量は、国内でトヨタに次ぐ第2位になっている。これが鉄鋼メーカーに対する強い交渉力を生み出しているとのこと。

三河地区でトヨタが自動車クラスターを形成している強みと同様な状況が紹介されているように思えます。
また、人件費メリットの追求として、造船業界が外国人労働者の受け入れに積極的な点も、コメントされていました。