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通常単価の124倍という途方もないIの高値買い事例など、IT製品購買の不備と対策に関する調査報告書発表ー CIPS(Supply Management) (2019-12-20)

英国でIT製品デジタルマーケットプレイスなどを展開するProbrand社が報告書「Technology Product Margins Report 2019」を発行し、IT製品の販売代理店購買の高値買い実態を明らかにしています(英国の購買団体CIPSも協賛、リンクは12月3日のCIPS(Supply Management))。

調査対象は、英国の20セクターでの1,200万ポンド(約17億円)の2年間の販売代理店(リセーラー)経由購入実績を調査した結果。

そのうち最も極端な事例として、通常単価34ペンス(約50円)のイーサネットケーブルを42.32ポンド(約6,030円, 通常単価に12,347%のマージンが乗った価格)で購入していた、ある銀行の場合が報告されています。

しかし全体平均でも、英国の「ITマネジャー学会(the Society of IT Managers (SOCITM))」がIT製品を販売代理店(リセーラー)経由で購入する場合の推奨している3%のマージン率に対して、全体平均のマージン率は14.08%と、高値買いになっているとのこと。
セクター別にみても、最低値は救急サービス(Emergency Services)の9.4%、最高値は法律事務所の23.61%で、推奨値の3%を大幅に上回っている結果となっています。

これに対して、Probrand社の幹部は、以下のように原因を推測してます。
・マージン率3%という取り決めを買い手企業がサプライヤーとの間に取り交わしても、その実態を把握できるツールがないと状況が検出できず、このような結果を招いている。
・さらにツールがあっても、例えば少額の小物機器では、詳細把握できず、購買統制が行き届かずに、塵が積もれば総額が大きくなるの高値買い現象が生じている(テイルスペンドでの統制不備問題)。

もちろん発生原因には、IT製品が技術的に大きく変化すること、メーカーー卸-販売代理店といった3重構造の複雑なサプライチェーンを持つといったIT業界特有の側面も挙げられています。

その上で対策として、報告書は以下の4点を挙げます。
1). 代理店の提示価格を鵜呑みにせず、買い手企業がメーカー価格動向(含:期間割引など)を把握する道を持つ
2). 実際に現在購買データを追跡しチェックできるツールの導入する
3). 適正なマージン(3%)での購入契約の締結する(実施状況は上記ツールでチェック)
4). 手ごろな購入先からの、ユーザーによる”小物”勝手買いを防止する手段を講じる

報告書の調査範囲は英国の話ですが、同様な状況は日本でもちょくちょく見かけると思えます。広告宣伝費とともにIT支出は、社内専門部署(情報システム部門)に任せている分担の企業も多く、日本企業でも購買統制不備が発生するリスクがあるところと思います。