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トヨタ、東海地区でもミルクラン(引き取り物流)を2020年9月から開始へ、プレスリリースで発表 (2019-12-26)

12月20日にトヨタが2020年9月から東海地区でもミルクラン(引き取り物流)を開始すること(23工場へ供給する200のサプライヤー事業所が2年間の対象)、および先行実施してきた九州地区と東北地区でも範囲拡大(約150社)することを、自社プレスリリースで発表しました。それと並んで、報道各社からの記事発表がありました。

効果として、ドライバー業務量の8%削減、CO2排出量の8%削減を想定しています。そしてこれは、今後進むドライバー不足問題や(2015年比で2030年には25%減)ドライバーの労働環境改善(ホワイト物流推進運動)、CO2排出削減強化(2013年比で2030年には26%削減の政府目標)にも対応するとしています(ただしドライバー業務量による効率化はコスト削減にも寄与するはず)。

しかし。8月30日の日経クロストレンドは、トヨタのミルクラン導入に際して以下のような課題を挙げていました。

・サプライヤーが自社で仕立てるトラック便の運送費の方が、ミルクラン料としてトヨタから請求される金額よりも安いことがある。これまではトヨタ支払輸送費に対し、サプライヤー自社努力で安い物流業者を使って節減していた分が吹っ飛んでしまう。
・しかしトヨタといえども新規契約では、サプライヤーが古くからの契約継続で実現している低価格契約はできない(ゆえに、サプライヤー従来運賃のほうが安いという、前述の事態になっている)。
・加えて歴史が長い東海地区では、ミルクランによる統合化へのトラック会社の反発もある(それで九州と東北から開始)。
・さらにトラック業界の旧来からの慣習や体質がある。元請け運送会社が下請け運送に”丸投げ”して、マージンを抜く構造もあり、トヨタに状況整理されてしまうと、立ちいかなくなるとの反発もある。
・そもそも輸送効率化は物流会社の業務量削減である。
・ゆえにトヨタも物流会社変更までは踏み込めていない。

それゆえに、東海地区では2020年9月開始の2年計画の発表とと随分と先の話になっています、従来からの商習慣にうまく切り込むには、トヨタと言えども一気に押し切れない難しいところがあるように思えます。

参考)
トヨタのミルクラン調達物流改革~値段が高い、荷量安定などの課題に立ち向かうが、まだ道半ば- 日経クロストレンドーIt's購買系 (2019年8月30日)
https://www.facebook.com/itscobuy/posts/2631015403596354

トヨタ、部品物流を効率化 自社トラック巡回の対象地域拡大ーSankeiBiz (2019年12月23日)
https://www.sankeibiz.jp/business/news/191223/bsc1912230500001-n1.htm

トヨタ、調達部品を「引き取り物流」に転換…輸送ドライバー不足などに対応ーレスポンス(2019年12月20日)
https://response.jp/article/2019/12/20/330024.html

トヨタ:ドライバー不足で部品の物流を抜本改革、自社トラックで集配ーブルームバーグ(日本語版)(2019年12月20日)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-12-20/Q2SSG7T1UM0W01

トヨタ、部品物流を効率化 運転手不足に対応ー産経新聞(2019年12月22日)
https://www.sankei.com/economy/news/191222/ecn1912220006-n1.html