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購買部門の業務スキルは決定的に不足する、ではどうすべきかの本格レポートをAPQCが発表ーForbes (2019-12-30) | ||
米国の調査会社で業務ベンチマークデータ提供大手である APQC社は、2019年10月末より重点的に、購買部門で今後必要になる業務スキルは何なのか、その充足度はどうなのかの調査結果の発表を続けてきました。 まず調査結果(204人の購買管理職が回答)レポートが9月16日に発表され、そこに考察を加えたWhite Paperが11月15日に発表されました。そしてその内容サマリー記事が、調査を担当したKate Vitasek氏によって12月10日に「APQCレポート: 企業の購買業務スキルは物凄く不足している(APQC Report: Companies’ Procurement Skills Woefully Lacking)(下記リンク先)」という題で、Forbesに寄稿されました。 調査は、購買スタッフが今後の業務に必要なスキルを4つのくくりー業務特有スキル(job-specific)、汎用的なビジネススキル(general business)、協働したり変化を起こす”ソフト”なソーシャルスキル(social)、問題深堀力スキル(Deep Work)ーに分け、その配下の個別スキルの、業務への重要性と現在の保有状況を判定させる方式で実施されました。 その結果は、トップ10のうちの9つが業務特有(job-specific)スキルではないということになりました。 しかも、現在の保有状況はとても不十分という結果が蜜びき出されています。 購買部門への期待値が上昇し、活用しようという機運が盛り上がってきているのに、実態はその期待をまったく満たせる状況にない。調査対象の欧米企業でも、教育方式はOJTや随意の外部セミナー出席などが主体だが、それを続けてはとても期待値を満たせる状況にはならないというのが、APQC報告書の主張となっています。 ではそのためにはどうすべきか。購買人材育成アプローチの全面見直しが必要である。例えば、”ソフト”なソーシャルスキル(social)獲得に目を向けているのは、調査した12%にしか過ぎない。自部門の見識範囲でのみの育成ではなく、人事部門や外部ベンダーなども活用して、不足しているスキルの獲得を図らないとギャップは埋まらない。それとともに、キャリアパスの明確化や必要スキル取得方法を見直して、「適当に育ってくれの意図なし状態」を止めないととんでもないことになると、報告書は警告していると思います。 なお、調査結果のトップ10重要スキルは以下(%は重要とした回答の比率): 1. ビジネス倫理(Business ethics) [汎用ビジネス] 59.8% 2. コミュニケーション(口頭・文章)(Communication (oral and written))[ソーシャル] 55.9% 3. ステークホルダー管理(Stakeholder management) [ソーシャル] 54.9% 4. 社内関係構築&管理(Relationship building and management) [ソーシャル] 52.0% 5. クリティカル・シンキング(Critical thinking)[ディープワーク] 48.0% 6. サプライヤーリレーション管理(Supplier relationship management)[業務特有] 47.1% 7. リーダーシップ (Leadership) [ソーシャル] 46.6% 8. 複雑な意思決定 (Complex decision-making)[ディープワーク] 42.2% 9. 従来型の社内外交渉・調整力 (Traditional negotiation) [ソーシャル] 41.2% 10. チームプレイ(Team Player) [汎用ビジネス] 39.7% 4つの区分配下の個別スキル項目ごとの「重要」と回答された比率は以下: ■業務特有スキル 1.サプライヤーリレーション管理(Supplier relationship management) 47.1% 2.サプライヤーリスク評価(Supplier risk assessment) 38.7% 3.支出分析(Spend analysis) 38.2% 4.契約 (Contracting) 32.8% 5.品目カテゴリ管理 (Category management) 31.9% 6.業界知識/市場分析(Industry knowledge/supply market analysis) 31.9% 7.発注処理 (Purchase order/requisition processing) 31.4% 8.市場リサーチ (Market research) 30.9% 9.統計分析 (Statistical analysis) 23.5% 10. 業績管理 (Commercial management) 22.1% ■汎用的ビジネススキル 1.ビジネス倫理 (Business ethics) 59.8% 2.チームプレー (Team player) 39.7% 3.リスク管理 (Risk management) 35.8% 4.分析スキル (Analytical skills) 33.8% 5.金銭的感知力 (Financial acumen) 33.3% 6.プロジェクト管理 (Project management) 29.9% 7.技術受容的な態度 (Aptitude for technology) 28.4% 8.プロセス管理 (Process management) 27.0% 9. コンピュータプログラミング(Computer programming/coding) 8.3% ■ソーシャルスキル 1.コミュニケーション(口頭・文章)(Communication (oral and written) 55.9% 2.ステークホルダー管理 (Stakeholder management) 54.9% 3.社内関係構築&管理(Relationship building and management) 52.0% 4.リーダーシップ (Leadership) 46.6% 5.従来型の社内外交渉・調整力 (Traditional negotiation) 41.2% 6.時間/優先度管理 (Time/priority management) 38.2% 7.巻き込み/浸透スキル(Influencing/persuasion skills) 38.2% 8.契約に向けた協働化 (Collaborative contracting) 36.8% 9.アクティブリスニング (Active listening) 35.8% 10.チェンジマネジメント (Change management) 35.8% ■問題深堀力(Deep Work) 1.クリティカルシンキング (Critical thinking) 48.0% 2.複雑な意思決定(Complex decision-making) 42.2% 3.パッション/熱情 (Passion) 39.2% 4.柔軟性 (Flexibility) 36.3% 5.適正判断 (Judgement) 35.3% 6.イノベーション(Innovation) 34.8% 7.創造性 (Creativity) 30.4% なお、レポートの方には、代表的な人材開発アプローチ一覧(12ページ)、代表的なトレーにニング方法(24ページ)など、各企業での検討材料になりそうな部分も散見されます。 また、応募企業に人材育成プログラムがあり、成長機会があることは、欧米でも採用応募者を引き付ける要因になっているとのことです。 参考) Identifying and Developing the Future Skills Needed in Sourcing and Procurement-APQC https://www.apqc.org/resource-library/resource-listing/identifying-and-developing-future-skills-needed-sourcing-and Procurement Talent Management and Skills for Future Success-APQC https://www.apqc.org/resource-library/resource-collection/procurement-talent-management-and-skills-future-success |