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部品供給網の回帰・分散などの多様化に補助金支出も検討と、政府未来投資会議で検討ー日本経済新聞 (2020-03-07)

「第一に、新型コロナウイルスの感染が世界的な広がりを見せる中、我が国のサプライチェーンの改革や観光などの地域経済の状況について議論を行いました。
 中国などから日本への製品供給の減少による我が国サプライチェーンへの影響が懸念される中で、一国への依存度が高い製品で付加価値が高いものについては、我が国への生産拠点の回帰を図り、そうでないものについても、一国に依存せず、ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国などへの生産拠点の多元化を図ります。」

アベノミクスの成長戦略を議論してきた未来投資会議の第36回(3月5日)で、安倍首相の発言の一部です。
加えて、会議資料では「日本の中間財輸出・輸入の対中依存度はどちらも2割を超え(2017年に輸出で24.7%、輸入で21.1%)、先進国の中で最も高い水準にある」といった現在の集中状況が示されたとのことです。

そして、2月27日の「新型コロナウイルス対策検討自動車協議会(経済産業省)」を迅速に反映したものと思われますが、国内回帰候補には、自動車のサイドエアバッグやエンジン部品、シートベルトなどがあがったようです。

また、ワイヤーハーネスなどの低付加価値品は、アセアンなどへの調達地域分散を後押しする方向。
そして、これらの回帰・分散には政府が補助金などの政策で後押しする方針も確認されたとのことです。

しかし当然ながら、現在のサプライチェーンは、買い手企業は常に有効ものを追求してきた結果です。例えば人件費コスト比率が高いが、輸送コストもかかるワイヤーハーネスなどは、地産地消も考慮しつつ、安い人件費を求めて生産拠点を展開してきた経緯がすでにあります。

加えて、ダブルソース化によるコスト高や、日本国内にも地震などの災害リスク問題があります。これらも配慮しつつ、中国の人件費高騰などで見直しが必要になっていた場合などには、政策の後押し利用の余地が出てきたようです。

一方で、G20財務相・中央銀行総裁会議前に、ルメール仏経済・財務相がコメントしているように、貿易関税摩擦のように保護主義的な傾向が強まっています。そのような世相に流されずに、最適解を追求する冷静な必要があると思います。

参考)
平成2年3月5日 未来投資会議ー首相官邸
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/202003/05miraitoushi.html

新型コロナ/未来投資会議が対策協議 供給網の中国依存を低減 ー日刊工業新聞
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00550658

未来投資会議とは 成長戦略、首相を議長に議論-日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO45749150W9A600C1EA2000/

新型肺炎、中国依存を露呈 原材料の自国調達重要―仏財務相ー時事ドットコム(2020年2月23日)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020022300418&g=int