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コロナ禍のモグラたたきを頑張っていこうと、初動5項目喚起のMIT教授が次の指針を提示-Supply Chain Management Review (2020-05-06)

2月に「今まさに取り組むべき5項目」で危機管理の初動を喚起したMITのYossi Sheffi教授が、4月27日の「Supply Chain Management Review」で、今後の対応について述べています。

教授は、コロナ禍の経済回復は「V字型、U字型、L字型、W字型」といった一定方向に動くのではなく、サプライチェーンの中で沈静と再燃が繰り返すグローバルな「モグラ叩き(whack-a-mole)」対応を強いることになるだろうと予想します。

そのような状況では、従来のように安定的な需要予測や生産計画に基づくことは困難なため、状況の変化に柔軟かつ迅速に対応できることを、アイゼンハワー将軍(後の大統領)の言葉「計画自体は役に立たなくても、計画していることは不可欠だ(plans are useless, but planning is indispensable)」を引用しつつ、論じます。

そしてモグラ叩きに備えて、実施すべきこととして「マッピングとセンシング」を薦めます。

マッピングとは、サプライチェーンに連なるサプライヤーを、その工場や倉庫の所在地を含めて洗い出すこと。そして、断絶が生じたらどの製品に影響が及ぶかを、部品表(BOM)と結び付けて明確にすることを指します。

次のセンシングは、断絶の兆候を捉えるための目を凝らすこと(監視すること)です。危険度の予測もで目途をつけることも重要で、加えて病院の状況など従来はとは違う兆候情報の監視も考える必要があるかもしれません。

兆候に気がついたら、緊急に対応することが必要になります。影響の大きさを即座に見極め、対策を打たねばなりません。

そしてこれをうまく運営していくためには、統一緊急オペレーションセンター(EOC)と、世界の重要拠点各地の「タイガーチーム(Tiger Team)」の連携体制での運営が必要になると論じています。

なお、Yossi Sheffi教授はMITのオンライン講座edXの「Supply Chain Design」と「Supply Chain Dynamics」の2講座を担当しています。リスク管理はDynamicsの内容の一部ですが、Designの講義は受講してみた経験として有益で楽しかったです。

参考)
初動の5項目については、以下を参照:

サプライチェーンBCPは適切に発動したのか、新コロナウイルスでの教訓まとめが始まる -Wall Street Journal他
https://www.facebook.com/itscobuy/posts/3032439166787307

Dr. Yossi Sheffi of MIT on Coronavirus and the Supply Chain-Supply Chain Digest (2020年2月24日)
http://www.scdigest.com/ontarget/20-02-24_sheffi_on_supply_chain_coronavirus.php?cid=16380