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契約書どころか、請求書・見積書・領収書にもハンコは要らない、経理との意思疎通の確認をー日本経済新聞他 (2020-06-22)

◆契約書など(含:請求書、納品書、検収書、領収書、確認書等)への押印は必須ではない 6月19日に政府から文書「押印についてのQ&A」が発表され、契約書などへの押印が必須ではないことが示されました。法律的には不要と主張しても、過去からの慣習や企業内規でと受け付けてもらえなかった場合にも、明確に反論ができる状況になりました。見積書や請求書などは、以前から不要でしたが「慣習・内規、さらには”念のため”の壁」がありました。

文書では、真正性の立証手段として、以下のガイダンスが提示されています(問6)
① 継続的な取引関係がある場合
取引先とのメールのメールアドレス・本文及び日時等、送受信記録の保存(請求書、納品書、検収書、領収書、確認書等は、このような方法の保存のみでも、文書の成立の真正が認められる重要な一事情になり得ると考えられる。)

② 新規に取引関係に入る場合
・契約締結前段階での本人確認情報(氏名・住所等及びその根拠資料としての運転免許証など)の記録・保存
・本人確認情報の入手過程(郵送受付やメールでの PDF 送付)の記録・保存
・文書や契約の成立過程(メールや SNS 上のやり取り)の保存

③ 電子署名や電子認証サービスの活用(利用時のログイン ID・日時や認証結果などを記録・保存できるサービスを含む。)

◆下請法の振込手数料も、以前のままの企業も多い
一方で、振込手数料の負担を従来からの取引慣行として、下請代金から減額して支払っている事例も多々見受けられます。経理(支払担当)が下請法に通じているわけでは無く、会計監査などで下請法関連の指摘があるわけではなく、変更は自社デメリットを伴わないので、放置という状況になっているようです。

◆経理(支払担当)との意思疎通状況の確認を
経理(支払担当)は、社外支出の最終関門として厳格であることが重要ですが、慣習的なやり方が継続している場合があります。さらに、厳格な部署として、普段は購買部門が話を持ち掛けづらい側面もあるかと思います(内規で経理が受け付けてくれないのでと、取引先に説明する購買部門もあるようです)。
今回のハンコ問題を、業務内容の総棚卸しの好機として利用することも一考かと思われます。

◆電子契約の可能性を見据えること
加えて、さらに確実で効率的な方式としての電子取引(電子署名やタイムスタンプ)の普及促進も想定されます。2020年度に総務省が制定予定の「電子書類の公的認定制度」が、2023年10月の「インボイス制度」での適用に先駆けて、普及が進む可能性も出てきているかと思います。

参考)
押印についてのQ&A-内閣府, 法務省, 経済産業省 (2020年6月19日)
http://www.moj.go.jp/content/001322410.pdf

アドビ「中小企業経営者に聞いた判子の利用実態調査」の結果を発表-時事ドットコム(2020年6月15日)
https://www.jiji.com/jc/article?k=000000081.000041087&g=prt

振込手数料の負担について:よくある質問コーナー(下請法)のQ31
https://www.jftc.go.jp/shitauke/sitauke_qa.html#cmsQ33

電子書類、20年度に認定制 総務省「本物」にお墨付きー日本経済新聞(2019年12月24日)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52663440X21C19A1EE8000/