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日野自動車、Should-costモデルで価格査定、開発部門とも連携を密にしてサプライヤーのコンペ実施ーニュースイッチ(日刊工業新聞) (2020-09-15)

2019年10月にVWグループの商用車(バス・トラック)部門「トレイトン」と購買合弁会社「HINO & TRATON Global Procurement」を設立し、2020年3月には電動車のプラットフォーム共同企画が報じられていました。

それに加えて今回の日刊工業新聞の記事(9月10日に本体にも掲載)は、日野自動車の購買業務が伺い知れる内容のように思えます。

まず挙げられるているのは、開発部門との密接な連携(協業)です。2019年に「ライジングハイ」と呼ばれる開発と調達部門が協力する活動が本格的始まったとのことで、例えば、開発部門が主体に、部品の仕様を見直して部品点数の削減などを進めているとのことです。さらには、開発部門からに依頼を受けて、サプライヤーに対して購買部門が提案コンペを徹底するとしています。自動車の場合には開発途中で量産段階のサプライヤーを決定し、そことコストの作りこみを進めていく開発プロセスを採ります。一方で大手乗用車メーカーに比べて、商用車メーカーは地場中小サプライヤーとの結びつきが強い側面がありました。そのような観点から、購買部門が提案コンペや設計変更品の見積査定を主導し、購買部門が決定していく仕組みを整備したのかと推測しました。

加えて、購買部門がサプライヤーに対して「あるべき(Should-cost)価格モデル」モデルで算出した価格を提示し、サプライヤーの見積との差額を共同精査しその差をつめていく活動を、プレス部品や板金部品、樹脂成形部品、鋳造品、鍛造品などで実施としています。何を(対象)、いくつ(数量)、いくらで(単価)を積算できるモデルを自社で保有して、日野自動車側でも改善すべき事項があればそれを取り込んで、最適価格に導いているようです。もちろん、プレス部品他、挙げられている品目は明細査定の基本中の基本なのですが、日野自動車も適切に運用している模様です。2017年にサプライヤーと始めた、調達部門主導の原価低減活動「ハイパー活動」の一部のようです。

さらに、サプライヤーにも材質の変更や、より安く材料を仕入れる調達先を紹介するといった提案もしているとのことです。

記事の内容に断片的なところもあり、少し読み込んで推測してみると、このような購買業務の事例が紹介されているのではないかと思われます。

参考)
VWと日野、調達に関する合弁会社を設立…シナジーの拡大をめざすーレスポンス(2020年10月30日)
https://response.jp/article/2019/10/30/328188.html

日野自、独トレイトンと電動車の構成要素を共同企画-日本経済新聞(2020年3月24日)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57144700U0A320C2000000/

日野自、調達コストの削減強化−部品メーカーの改善支援 -日刊工業新聞(2016年1月20日)
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00371588