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自動車産業での組み込みソフトウェア開発へのShould-Costモデル適用方式の論考を発表-Mckinsey (2020-09-30)

Mckinseyは継続的に「Should-costモデリング」への取り組みの論考を発表していますが、ハード調達ではShould-costモデルがデフォルト化している自動車産業で、組み込みソフトウェア調達にShould-Costモデルを適用した事例を発表しました。30%のコスト削減と納期の大幅短縮を達成したとのことです。

Mckinseyによると自動車用ソフトウェアの世界市場は2020年から2030年にかけて2倍に拡大予想とのことです。さらに製品差別化の要因としてますますソフトウェアの重要性が増加することが想定されています。

そのような状況で、ハードウェアだけではなく、ソフトウェアにも注目していかねばならないのに、ソフトウェアのコスト査定の仕方・ツールが不十分で迅速さに欠けるとの問題意識が根底にあります。というか、ブラックボックス化してる(価格透明性を確立できていない)との認識です。

それに対して、コスト決定要素に明細分解したコストモデルを作成する必要性が説かれます。ただし、ハード部品とは異なり「どんな作業、どれくらい、単価いくらで」の要因分解する手法ではありません。ではなくソフトウェアを明細な構成要素単位に分解し、それを他の事例と比較する方法を採るべきであるとの、Should-Costの別のやり方が説かれます。これをMckinseyは「Tシャツのサイズ合わせ」アプローチと呼んでいます。ソフトウェアは、明細機能を比較し、コストを積算査定すべきと考えるようです。

ただし構成要素単位への分解は個別事態で異なり、なかなか標準化できるものではないので、プロジェクト間での汎用的な比較が難しいとの課題も挙げています。

ではどうするのか。AIを適用して複雑さのポイントを推計して適正コストを導く方式が必要になるのではとするのが、Mckinseyの化が得方です。しかしこれは従来より存在するソフトウェア見積手法の「ファンクション・ポイント法」へのAI推計の適用にも思えます。

モノの加工品などへの適用事例に比べて、すこしふわふわとした内容で終わっている論考のようにも思えますが、それだけソフトウェアは難しい、今後より考えていかねばならないというところなのかもしれません。

参考)
McKinsey: Is “Should Costing” The Future of Procurement?-Supply Chain Digital (2020年9月15日)
https://www.supplychaindigital.com/procurement/mckinsey-should-costing-future-procurement