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デロイトのグローバルCPO調査レポートの最新版発表、コロナ禍を好機に”新常態”への全面見直しをーデロイト (2020-11-15)

グローバルCPOレポートを毎年発行してくれるデロイトから、最新の2020年版「Pandemic procurement: The stakes are raised and complexity grows(パンデミック下の調達:リスクが高まり、複雑さが増す)」が発表されました。コロナ禍下での調査結果をまとめたため、2020年は例年の4分の1の分量のフラッシュレポートとなっています。

2019年のレポートでは、調達領域のあらゆる局面増々高まる市場の複雑性にいかに対処するかがテーマとなっていました。しかし「ブラックスワン」のコロナ禍を経た2020年版では、8割が特別に緊急的状況は過ぎたと考える一方で、64%は新常態に対応できるサプライチェーンの構築にかからねばならないとの意識にあるとしています。

コロナ禍を経ての特徴的な調査結果は、調査での優先度に基づいて、次のように列強されています。
=認識事項=
・キャッシュが重要(Cash is king): コスト削減が最優先事項の企業が33%から66%に増加
・スタッフの安全が重要(The Team matters): 80%の企業がスタッフが安全に就業できることを重視
・事態に対応するには(Fighting fires):データ可視性、デジタル化、アナリティクスが乗り切るには重要
=現在の状況=
・必死の対応(Hand-to-hand combat): 即座の戦術的対応と、長期の戦略的対応が混在している
・見えないものは対応不可(You can't manage what you can't see): Tier1サプライヤーを可視化できていると回答したのは50%、その先はもっとみえていない
・まだ嵐の最中(The not-so-passing storm): 影響は長期継続する(即座の回復はない)と多くが考えている
=今後の対応=
・新常態への対応(“Next normal?“ #VirtualProcurement): リモートワークを含めた新常態への備えの必要を64%が感じている
・統合と拡大の両面の動き(To consolidate or not to consolidate):約47%が供給基盤の拡大を計画、一方で25%が供給基盤の統合を計画
・復興時期見込み(Thriving): 3分の1は3~6か月, 3分の1は6~12ヶ月に回復期に入るので、新常態への対応を図らねばならないと考える
=提言系(そのためには)=
・業務パフォーマンスの増大が必要(Enhancing business performance):非効率と高コストを改善し、より大きな成果を目指す必要がある
・2020年に後悔しないために(Hindsight in 2020): 振り返れば、2020年が重大な分岐点かも

その上で、コロナ禍をこれまでの延長から一旦立ち止まって考える好機ともして、復興期に向けて戦略を練り直す必要性が提言されます。そしてその際に重要なのは以下の事項とされています。

・すべての階層レベルのサプライヤのリスク特定方法を明確化し、それへの適切な対応を策定しておく
・リスクに基づいてソーシング戦略の再検討し、より強固な対応計画を策定しておく
・リスクをサプライヤーに分担できる および/または 成果主義的な契約を増やすことを考える
・コラボレーションとサプライヤー開発プログラムを通じて戦略的パートナーからの価値提供を強化する
・クリーンで正確なデータに支えられ、柔軟にデータ連携するデジタルインフラの構築
・計画策定力と回復力を強化するためのシナリオモデリング能力を確立する

参考)
ニュースリリース: 「Global CPO Survey 2019」日本版発行-デロイト(2020年3月30日)
https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/about-deloitte/articles/news-releases/nr20200330.html

デロイトのグローバルCPO調査レポートの最新版発表、4つの複雑さ(面倒さ:Complexity)の克服に焦点ーデロイト (2019年10月28日)
https://www.facebook.com/itscobuy/posts/2752972401400653