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アジア・太平洋地域での調査結果に見るコロナ後のサプライチェーンでの5つの検討テーマ-マッキンゼー (2021-02-24)

COVID-19で大きな脆弱性が露呈したサプライチェーン領域で、COVID-19後の新常態をも見据えて、購買機能をどう再構築していくかをテーマとした論考「5つのテーマが新常態での購買再構築に役に立つ(Five themes can help procurement shape recovery in the next normal)」を、コンサルティング会社のマッキンゼーが1月22日に発表しました。アジア・太平洋地域の購買リーダー160名に調査した結果とのことで、オーストラリア(メルボルンとシドニー)と上海の事務所が著述を担当しています。

この論考では、新常態に向けた購買機能再構築には、次の5つを考える必要があるとしています。
1).ゼロベースでの価値創造戦略(Zero-basing value-creation strategies)
2).サプライヤー(パートナー)との新たな機会の追求(Unlock new opportunities with partners)
3).デジタル化と支出分析の強化(Deploy digitization and spend analytics)
4).リモートワーク形態での働き方実施(Enable remote working models)
5).コア能力を深めるとともに、新規能力も拡充(Deepen capabilities, both core and new)

そして回答したアジア・太平洋地域地域の企業の約8割が、業界や企業により優先順位の変化はあるものの、この5つに基づいて購買業務を再検討する必要を感じているとしています。

興味深い点としては、回答企業の約半数(46%)が、サプライチェーン・レジリエンス対応やサプライヤーへの財務的配慮などの様々な事情があるものの、コロナ後のコスト削減目標を緩めたことが指摘されています。コロナの経済的影響から購買のコスト削減に注目が集まっているとの報道がありますが、それとは逆の回答結果になっています。加えて、価値の創造側面を含めてゼロから考え直してみることの重要性も指摘されています。

さらにリモートワークなどのの環境変化からあぶり出された、部門横断やサプライヤー協働などのスキル不足に対してスキル強化に動く必要を、回答企業の86%が感じていることも報告されています。

その上でレポートは以下を再度自問してみることを読み手に勧めます。
■COVID後の価値創造最大化に向けてオフィスの見直し、ITインフラ(クラウドとオンプレミス)のバランス、新しい自動化技術採用の検討はできているか?
■需要-供給関係の変化やサプライチェーン・リスクへの対応検討が、すべての主要品目カテゴリーで十分にできているか?
■購入チャネルや購買プロセスは、社内ユーザーにとっても、サプライヤーにとっても最適なものか(改善余地は無いか)?
■社内ビジナス部門との連携やサプライヤー連携で今以上の価値を生み出す余地はもうないか?
■プロセス、デジタル、データ、組織、ガバナンス、能力、文化への追加投資が最大効果を発揮する場所はどこだろうか?

日本企業がどのくらい含まれているかは不明ですが、より身近なアジア・太平洋地域地域の企業を対象にした調査結果に基づくレポートで、興味深く読めました。