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サプライチェーンに4ヶ月分の半導体在庫を持たせていたトヨタ、システムで状況可視化も成功要因-日本経済新聞 (2021-04-30)

世界的な半導体不足は自動車のみならず電機など他産業にも影響しそうな状況下、トヨタが向こう3ヶ月予定計画台数の生産を維持する見込みであることから、なぜトヨタはそのような対応が可能なのかという観点からの報道が相次ぎました。

4月18日の日本経済新聞は記事「半導体不足、耐えるトヨタ、 震災教訓、供給網全体で在庫4倍 減産抑え対策急ぐ」で、2011年の東日本大震災の経験から、重要部品である半導体についてはサプライチェーン上(Tier-nサプライヤー)に4ヶ月分の安全在庫を持たせていた。ゆえに、国内生産を計画通り維持できていると報じました。例えばデンソーでは、震災前に比べて19年度末は棚卸資産が2.4倍に、在庫回転日数は37日から53日に増加しているとのことです(同業のコンチネンタルは震災前47日が50日)。また、震災後に整備したサプライチェーン在庫把握システム「レスキュー」が、在庫量の可視化に役立っていることも指摘されています。

一方で、4月26日の日刊工業新聞は「半導体不足に怯まないトヨタ、販売台数維持の秘訣」で、「レスキュー」システムでサプライヤー在庫状況を可視化し、サプライチェーン上に規定の在庫量を確保する(1―4カ月分の在庫確保を要請)方式を採っているとしています。

このように重要部品についてはサプライヤー在庫を積み増していますが、積み増し在庫分をサプライヤーからの購入価格に反映させているかは、各記事では明らかにされていません。

また、日刊工業新聞の4月20日の「深層断面/自動車産業、試練の時 部品供給に遅れ」では、2月の福島県沖地震で、ある自動車安全部品メーカーに被災状況確認の電話問い合わせが購買部門幹部からあったのはトヨタだけだった、このようなBCP(事業継続計画)への重層的な対応はすごいとの話も報じられていました。

さらに、3月24日の日刊工業新聞では「ルネサスにはデンソーとトヨタ自動車が11・7%出資しており、これがトヨタグループと他自動車メーカーとの半導体調達力の違い」との指摘もされています。

参考)
半導体不足に怯まないトヨタ、販売台数維持の秘訣-ニュースイッチ(日刊工業新聞) (2021年04月27日)
https://newswitch.jp/p/26976

深層断面/自動車産業、試練の時 部品供給に遅れ-日刊工業新聞 (2021年4月20日)
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00595758

ルネサス工場火災から考える、戦略物資「半導体」調達のあり方-ニュースイッチ(日刊工業新聞)(2021年3月25日)
https://newswitch.jp/p/26507