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自動車メーカー、50年にわたる「ジャストインタイム」生産から撤退-Wall Street Journal(2021-05-15)

「自動車メーカー、50年に渡る「ジャストインタイム」生産から撤退(Auto Makers Retreat From 50 Years of ‘Just in Time’ Manufacturing)」という刺激的な題で、5月3日のウォール・ストリート・ジャーナルが自動車メーカー各社の姿勢変化を長文記事で論じました(日本語版ではやや緩やかなニュアンスの題ですが)。

記事の背景としては、Covid-19のパンデミックに加えて、テキサス大寒波などの途絶が頻発する状況に加えて、EV化などで従来とは異なる重要部材が必要になっていることも挙げられます。
ゆえにこれまでのやり方を再点検しなくても良いかの問題意識が示されます。

そしてそれに対して、50年間にわたって自動車メーカーが磨き上げてきた、極限まで無駄を省いた超効率(hyperefficient)のジャストインタイム生産を、品目を見極めながら、必要に応じて見直す動きになってきたことが指摘されています。

半導体のような最も脆弱な部材には、トヨタが4ヶ月分のサプライチェーン在庫を確保しているように、一定の安全在庫を保有する方向になっていること。またEVに不可欠な燃料電池ではVWが6つの内製工場を設置し、テスラが原料のコバルト調達に自ら乗り出すなどの新規部材への対応も紹介されます。

一方で、例えばステランティス社(クライスラーなど)では、約95%の部品をコストと効率化のために単一サプライヤーから調達しているなどの脆弱性は、一度見直し対応べきではないかとなります。

またトヨタは在庫を持つとともに、サプライチェーンの状況を連携システムで可視化することで管理を強化している実態なども紹介されます。

このように部品特性を見極めた上で、必要な対応を講じる必要が日本でもいくつか報道され、論じられてきましたが、米国の有力紙でかなりの分量を割いて論じられました。

参考)
上記リンク先の引用記事(見れない場合に)-Bangkok Post
https://www.bangkokpost.com/business/2110335/auto-makers-retreat-from-50-years-of-just-in-time-manufacturing

トヨタ生産方式に転機、在庫持ち始めた自動車業界、ジャストインタイム方式、コロナ下の供給網ひっ迫で見直し加速(日本語サマリー) -ウォール・ストリート・ジャーナル(日本語版)(2021年5月7日)
https://jp.wsj.com/articles/auto-makers-retreat-from-50-years-of-just-in-time-manufacturing-11620365955

Supply chain managers 'increase orders to build stocks'-CIPS( Supply Management) (2021年5月4日)
https://www.cips.org/supply-management/news/2021/may/supply-chain-managers-increase-orders-to-build-stocks/