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半導体逼迫が買い手vsサプライヤーの力関係闘争に火を付ける、夢は終わったと認識してほしいと半導体メーカー-Finansial Times(2021-05-15)

半導体不足が進むなか、ジャストインタイムなどの不利な条件のこれまでの押しつけに対し、半導体メーカーから見直しの声が上がっていることが、フィナンシャル・タイムズで5月4日に報じられました。すなわち、世界的な半導体不足は値上げ交渉に加えて、半導体メーカーに強いてきた不利な取引条件の改善交渉にもつながってきているとの指摘です。

記事によると、欧州最大手のチップメーカーのCEOは、「夢が終わった」ことを顧客は受け入れなければならないと語ったとのことです。

STマイクロのジャン・マーク・シェリー社長は、ジャストインタイム・サプライチェーン対応で半導体メーカーが在庫を抱え現行システムの変更を、自動車メーカーや自動車部品メーカーは受け入れるべきとしています。取引が「過去には不均衡だった」と考えているとのこと。

インフィニオンも、3月に同様の警告を発し、自動車メーカーがチップを調達するには「異なるモデル」が必要だと要求しているとされています。

アナリストも「チップ不足は、自動車のサプライチェーンにおいて、価格、購入量、重要部品の在庫を多く抱えることによるコスト負担の再交渉を促す可能性がある」「今、業界が感じている痛みの深さは、確かに会話のきっかけになる」と指摘します。

トヨタがサプライチェーンに4ヶ月分の重要部品(含:半導体)在庫を持たせている、デンソーの在庫は2011年よりも増えているなどの報道が国内外でされていますが、それを他社で実現するのはサプライヤーとの交渉が必要な、容易ではない事態と当然ながら思われます(サプライヤーも容易に在庫保有を呑むようには思えません)