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ボルボの脱炭素化の鉄鋼メーカー協業などサプライチェーンCO2排出への関心が強まるも、未達サプライヤー対応やコスト高の吸収の課題も明らかに-モータファン他 (2021-06-30)

日本政府の「骨太の方針」(6月18日閣議決定)および「通商白書」(6月29日閣議配布)でも温室効果ガス(CO2)の排出量実質ゼロ(カーボンニュートラル)が謳われました。またそれに先立って、トヨタがトヨタ、直取サプライヤーに今年度のCO2排出量3%削減を要請との報道が6月前半に出たのが日本の状況です。

一方で海外でも、自動車生産の重大CO2排出源となる鋼材生産において、ボルボがその鉄鋼サプライヤーのSSAB社が進める水素製鉄法プロジェクト(HYBRITイニシアチブ)に協力(非化石スチールのテスト使用)との具体的な報道が出てきました。

またアパレルのバーバリーも自社(スコープ1と2)を越えて、サプライチェーン(スコープ3)のCO2排出削減を進めることを「クライメート・ポジティブ」という名称で発表し、2030年までの削減目標も30%から46%に引き上げることを発表しました。

しかしサプライチェーンでのCO2削減の目標を設定し、それを推進する際の課題も指摘されてるに至っています。

第一は、スタンダードチャータード銀行が多国籍企業400社に対して行った調査レポート「Carbon Dated」の結果です。企業はサプライチェーンでのCO2削減目標を公表(コミット)してしまった以上は、その自社目標達成の妨げとなる、削減を十分に行えないサプライヤーとの取引の継続が困難になると、レポートでは予想します。問題は取引停止になるサプライヤーは全体の35%にも達すると予想されること。特に、新興国サプライヤーの対応に不安があると、調査対象企業の3分の2が回答しているとのことです。

第2はコスト問題です。CO2削減は従来製法よりもコスト高を招くのが通例ですが。そのコスト高をどのように吸収するのか(買い手が追うのか、サプライヤーに負担させるのか、それとも...)という課題を日刊自動車新聞が報じています。

温室ガス(CO2)排出量削減に大きく舵が切られていますが、具体的にはこの2つはなかなか手ごわい課題になりそうに思えます。

参考)
産業界 温室効果ガス削減 サプライチェーン全体で目標達成へ-NHK (2021年6月27日)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210627/k10013106261000.html

ボルボがCO2排出ゼロの製鉄の研究を開始!鉄鋼メーカーSSABと提携-VAGUE(ヴァーグ) (2021年6月21日)
https://kuruma-news.jp/vague/post/55231

バーバリーが宣言 CO2削減が排出を上回る「クライメート・ポジティブ」へ-WWD Japan(2021年6月25日)
https://www.wwdjapan.com/articles/1228449

Multinationals plan to drop 35% of suppliers by 2025-CIPS(Supply Management)(2021年6月14日)
https://www.cips.org/supply-management/news/2021/june/multinationals-plan-to-drop-35-of-suppliers-by-2025/

カーボンニュートラルで問われる自動車メーカーのコスト意識、CO2削減コストは誰の負担か サプライヤー巻き込んだ取り組み不可欠-日刊自動車新聞(2021年6月21日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/dfa6983663de18f666f4a7b7db44384c5e5f4f88?page=1