Blog"   調達購買関連 最新トピックス
日鉄との密な協力関係に亀裂?、しかし一方で取引先とのコスト改善をさらに加速するトヨタ-日刊工業新聞(2021-08-31)

トヨタから支給鋼材の2年ぶり値上げ(しかも2万円/トンと過去最大の値上げ幅)を日本製鉄が得たことは8月21日に報じられましたが、それとともに場合によっては供給を絞る(供給制約をする)という強硬な姿勢で今回の交渉が行われたことは、一般紙もこぞって取り上げるところとなりました。

日本製鉄の供給制約の件は、トヨタが鉄鋼支給材の一部の価格交渉に関与しなかったことを報じて、トヨタの鉄鋼価格交渉に通じているところを見せていたブルームバーグが、社名を挙げずに、日本製鉄が「供給制約」を持ち出して価格交渉している自動車メーカーがあると7月に報じていました。

今回の報道では、それが日本製鉄の「チャンピオン交渉」相手のトヨタだったことがあきらかになりました。トヨタは日本製鉄に対しても鋼材受入基準緩和、過剰品質見直し、発注精度向上などで協調しつつ価格を抑え込んできました。しかし鉄鉱石や副資材(コークス)などの原料高に直面した日本製鉄が従来の協調姿勢から、供給制約を持ち出す強硬姿勢に転じたことで、対立関係が生じているという関係性の変化を各紙報じています(さらにトヨタが値決めをするが実購入はサプライヤーの「管理自給方式」から、トヨタ自身が実購入・支払する「完全支給方式」に変える方向にあるとも)。

しかしこのような関係変化がある一方で、8月23日の日刊工業新聞は鋼材取引での過剰品質基準緩和、2次・3次も含めた取引商流整理、発注精度向上の取り組み、重複検査の整理、輸送効率見直しなど(日本製鉄でも行ってきた内容)を継続して進めていることを報じました。記事では、取り組み内容をさらに具体的に触れています。

一部サプライヤー(といっても影響ある大取引)との関係の変化はあるものの、トヨタのお家芸のサプライヤーとのコスト改善活動は継続してる様子です。

参考)
日鉄強硬、トヨタ不満 鋼材値上げ、盟友に亀裂-毎日新聞(2021年8月21日)
https://mainichi.jp/articles/20210828/ddm/008/020/165000c

車用の鋼材が大幅値上げ 強気の日鉄、トヨタは不信感-朝日新聞(2021年8月26日)
https://www.asahi.com/articles/ASP8T66Z7P8TULFA001.htm

車用鋼材の集中購買制度/トヨタが改定の動き/鉄鋼メーカー・流通が注目-鉄鋼新聞(2021/7/15)
https://www.japanmetaldaily.com/articles/-/88751

トヨタ、部品用鋼材値上げ2万円 資源高で上げ幅最大-日本経済新聞(2021年8月24日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC1811T0Y1A810C2000000/

特殊鋼供給が間に合わず日本製鉄が自動車メーカーに発注調整を依頼、不足半導体では粗悪品混入で工場停止も-ブルームバーグほか(2021年7月30日)
https://www.facebook.com/itscobuy/posts/4505776002786942

トヨタ、鋼材調達効率化 取引先と改善活動加速-日刊工業新聞(2021年8月23日)
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/609385