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サプライヤーとの情報連携を見直し、業務透明性の確認を、情報提供を一方的に強要するのではなく-ハーバード・ビジネスレビュー (2021-10-02)

サプライチェーンの混乱が、半導体不足でも全世界の自動車業界の売上を23億円減少させるといった途方も無い数字が報道されています。今春まではパンデミックでの売上減が懸念の主体でしたが、今やサプライチェーンの供給不足が一気に注目を集めています。そしてそれに対応して、様々な論考が出ています。

9月24日には、ハーバード・ビジネスレビューから論考「サプライヤーと透明な関係を築くには(How to Build a Transparent Relationship with Your Suppliers)」が出ました。この論考では、パンデミックの影響で顕在化した現在の状況は、従来のサウライヤーとの関係性に潜在していたものであり、それをどのように解決していくかを課題として捉えます。

すなわちその原因は、サプライヤーとの供給状況の連携欠如にあるとし、それを透明性の欠如と呼びます。すなわち、サプライヤーは買い手企業の言うことを聞くもので、何か合ったらサプライヤーから情報を提供されるを受動的に待っているだけになってはいなかったかと指摘します。そしてそれは供給状況の透明性に欠けていたのではと考えます。

そして今回の教訓で明確化されたのは、緊急事態(逼迫・不測事態)には、サプライヤー自主申告は当てにならず、サプライヤーが買い手企業に率先して情報提供する関係を構築しておく必要があると論じます。確かに、Just-in-Timeを進化した結果、納入可否の確認は蔑ろになり、指示通りに納入せよになっていたところがあるかもしれません。

このような状況を脱却し、サプライヤーと情報供給・連携を図る(買い手企業が所定の情報を要求する)には、次が必要と考えています。

1.買い手企業およびサプライヤーの損得を明確化し、それを確保するためにどの情報を連携し、どう調整を行うかの方式を確定する
2.良くない事象が発生した際にサプライヤーを責めるためでなく、買い手企業のサプライチェーンリスクに対応するためであることを、リスク内容をサプライヤーと共有しつつ、理解してもらう
3.サプライヤーに買い手企業のリスクに通じてもらうには、製品の設計開発段階で、サプライヤーに把握してもらっておくことも重要
4.サプライヤーの手間や責任範囲が増える反発も予想し、情報連携関係を確立してくれた場合にサプライヤーが得れる利得も考え、状況に応じて提示する
5.サプライヤー提供情報が、社内関係部署にも円滑に流れる仕組みも整備しておく
6.データに基づいたリスクモニタリングプロセスを、経営トップの承認のもと確立する

基本的に思えるところもありますが、改めて読んでみてもよい内容と思えます。

参考)
今年の世界自動車メーカー売上高への影響23兆円-半導体不足悪化-ブルームバーグ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-09-23/QZVCJ6T0AFB701

半導体不足による自動車メーカーの生産損失額は年間2,100億ドル、アリックスパートナーズ-JCN Newswire(2021年09月24日)
https://www.jcnnewswire.com/pressrelease/69773/3/アリックスパートナーズ、半導体不足による自動車メーカーの生産損失額は年間2,100億ドル