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情勢混乱の現状下、他社比較で進む方向を測るに有効なベンチマーク指標を連ねた資料「CPOハンドブックを発表-ベロア (2021-10-22)

欧米企業の利用が多い情報調査会社のベロア(Beroe)社が、ベンチマーク指標を連ねた「CPOハンドブック」を発表しました。パンデミックにより世界が混乱する中、今後の進み方の指針となるのではとの意図に基づくとのこと。ただしベロア社の指標提供サービスの宣伝の側面も暗にあります。
しかし、他社比較ベンチマーク指標へのニーズは継続的に強くあります。ゆえに多くの企業で参参考になる面があると思います。

ベロア社の会員企業(Beroe LiVE.Aiコミュニティ)での調査結果に基づくと、2021年3月から9月の間に500種類以上の商品が10%以上の価格上昇とのこと(50%以上Upが60品目、20-50%Upが200品目以上、10-20%Upが200品目以上)。その結果、多くの品目のコスト削減目標比率が縮小したと、樹脂などの代表品目別の価格上昇率と削減目標率の変化(ABSの作編目標は10%から1%に縮小など)を表で示しています。

これによる経営指標への影響は、次のようにまとめられています。
・売上高原価率: 売上減少幅(3.5%)よりもコスト削減幅(4.4%)が、全業種では大きく改善された
・売上高に占める在庫: 過去3年の11%から1%上昇(在庫を積み増している)
・売上高負債(買掛)比率:支払期間を長期化したことで比率は上昇
・GMROI[=売上総利益率 ÷ (棚卸資産 × 売上高原価率)]: 企業が在庫コストを上回る利益を上げているかを示すGMROIは3年前の3.1から2.4に低下。売上減少と在庫増加の双方が影響と考えられる

そのうえで、財務諸表の主要項目のやや細分化別(金属、化成品、物流, 人事サービス、財務サービス)と主要指標(達成削減率、高リスクサプライヤー比率など)ごとに増減比率を示しています。

そして総括的に、ロバート・ハンドフィールド教授の2023年まで逼迫は続くかもしれないとのコメントを引用しつつ、購買部門は他社比較を指針に方向を決める必要がより強まるのではないかとしています。

すべてのニーズに対応できる指標の網羅ではないかもしれませんが、興味深いベンチマーク指標データが示されているように思います。