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改正電帳法の「電子受領取引書類の紙印刷保管禁止&電子保管義務化」の2年猶予が確定-与党税制改正大綱(原文リンク)、IT mediaほか (2021年12月10日) (2021-12-10)

改正電子帳簿保存法の取引情報保存に関する措置の2年間猶予が確定しました。

電子メールやその添付ファイル(PDFファイル)などで電子的に受理した取引情報(見積書、注文書、納品書、請求書など)を紙に印刷・保存することがこれまでは認められ、広く行われていました。
しかし令和4年(2022年)1月からは紙印刷・保存が認められなくなり、タイムスタンプ付加保管、クラウドなど一貫した電子システム移管、事務処理規程作成とそれに則った運用のいずれかがを必須とすると、1年前に令和3年(2021年)度税制改正で決まりました。

しかしこの改正内容の認知がいまだに低く、とても準備が間に合わない状況が発生していました。

それに対して、12月6日の日本経済新聞は2年の猶予を与党税制改正大綱で検討中と報じました。そしてその通りに、本日12月10日決定の令和4年(2022年)度税制改正大綱に、2年間の猶予が取り込まれました(原文は下記参照)。

主な内容の箇条書きは以下になります。
1).電子メール本文テキストや添付ファイルなどの電子取引情報は、従来通りに紙に印刷保管でよい
2).電子保存義務の実施は令和5年(2023年)12月31日まで2年間猶予できる
3).紙の印刷保存の現状継続は、税務署への手続きせずとも、実施可とする

この与党税制改正大綱に基づいて、年末までに省令改正が発表されます。具体的な手順は省令改正で定義されますので、その確認を踏まえたうえで、特になにもせずに2年間の実施猶予ができる見込みとなりました。

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(原文: 令和4年度税制改正大綱 90~91ページ)
(8) 電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存への円滑な移行のための宥恕措置の整備
 電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存制度について、令和4年1月1日から令和5年12月31日までの間に申告所得税及び法人税に係る保存義務者が行う電子取引につき、納税地等の所轄税務署長が当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存要件に従って保存することができなかったことについてやむを得ない事情があると認め、かつ、当該保存義務者が質問検査権に基づく当該電磁的記録の出力書面(整然とした形式及び明瞭な状態で出力されたものに限る。)の提示又は提出の求めに応じることができるようにしている場合には、その保存要件にかかわらず、その電磁的記録の保存をすることができることとする経過措置を講じる。

(注1)上記の改正は、令和4年1月1日以後に行う電子取引の取引情報について適用する。
(注2)上記の電子取引の取引情報に係る電磁的記録の出力書面等を保存している場合における当該電磁的記録の保存に関する上記の措置の適用については、当該電磁的記録の保存要件への対応が困難な事業者の実情に配意し、引き続き保存義務者から納税地等の所轄税務署長への手続きを要せずにその出力書面等による保存を可能とするよう、運用上、適切に配慮することとする。

参考)
令和4年度税制改正大綱-自民党/公明党(2021年12月10日)
https://www.jimin.jp/news/policy/202382.html

領収書の電子保存、義務化2年猶予 経理デジタル化遅れ: 日本経済新聞(2021年12月6日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA031I10T01C21A2000000/