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品質基準や特許補償の緩和などサプライヤーとの基準の見直し余地が、自動車業界を例に報じられる-日本経済新聞ほか (2021-12-22)

自動車メーカーの生産停止に伴い、そのサプライヤー収益も悪化していることが報じられています。それに関連するのか、サプライヤーの負担軽減や是正策の記事が12月に相次ぎました。

12月7日にロイター、12月16日に日本経済新聞(日経ビジネス)、そして12月21日には日刊工業新聞が、品質・性能適正化特別活動(Smart Standard Activity: SSA)でトヨタがサプライヤーの過剰品質負担是正に取り組んでいる様子が報じました(3社とも似通った内容)。12月7日にトヨタ自動車が開催した説明会の内容に基づいています。

樹脂部品の見えない裏側の小さなバリやへこみ(利用者はまず気が付かない)などでも不合格になるなど、トヨタの品質基準は確かに厳格でした。それに対して、2017年開始のSSAは、2019年からトヨタ社員(コアメンバー50名+その他の社員)がサプライヤーを訪問してサプライヤーの検査基準を緩和是正する活動も樫下とのこと。サプライチェーン全体での収益力向上を目指しているとしています。

トヨタの取引先は1次・2次で約4万社とされますが、すでに1次取引先の9割、2時取引先の6割がSSAの対象となり、トヨタの支援を受けたとのことです。

一方で、12月8日の日本経済新聞は、自動車(完成車)メーカー各社がサプライヤーに設定している「特許補償条項(サプライヤーの部材が特許侵害の場合も完成車メーカーは補償の責を負わない)」の危険性を指摘しています。完成車メーカーの免責が保証されない、訴訟時に製品販売停止の危惧がある、サプライヤーに対する独占禁止法違反(特権的地位の濫用)の可能性があることがその理由にあげられています。同様な事例は、他業界でも同様です。

このようなサプライヤーとの取り決め見直しの記事が、12月に相次ぎました。

参考)
トヨタ、性能に支障ない「傷アリ」部品採用 仕入先の効率・収益改善-ロイター(2021年12月7日)
https://jp.reuters.com/article/idJPKBN2IM0RO

トヨタ、仕入れ先支援 過剰品質負担是正、検査基準など適正化‐日刊工業新聞((2021年12月21日)
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00622275

車の特許訴訟、「取引先任せ」の慣行見直し促す-日本経済新聞(2021年12月8日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD17C7U0X11C21A1000000/