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平均的な企業で年間利益の45%を今後10年で棄損する今回のサプライチェーン混乱、究極の特効薬は?-Mckinsey (2021-12-24)

コンサルティング会社マッキンゼーが、Podcast記事「サプライチェーンのレジリエンス:聖杯は存在するか?(Supply-chain resilience: Is there a holy grail?)」を「サプライチェーンの混乱により、平均的な企業はサプライチェーンの混乱により、平均的な企業は10年間で年間利益の45%を失うことになる。ではどのようにリスクを管理し、より強靭な未来のために計画立案すればよいのか」という副題を添えて、12月8日に発表しました。

主な内容は以下。

パンデミックの混乱が、5年前には一般消費者が気にも留めていなかった「サプライチェーン」に注目を集めさせることになった。同時に、サプライチェーンは、問題発生時も有効対応機能というだけでなく、企業業績向上にも関わることが経営陣にも認識される契機ともなった。

マッキンゼーが行ったサプライチェーン担当の上級管理職への調査の回答では:

リスク管理の観点:
・より俊敏かつ頻繁に計画策定・正しい意思決定ができることが重要
・そのために回答者の8割がデジタル・プランニングへの投資が必要と考えていた。
・リスク管理の聖杯(Holy Grail)は多階層にわたる透明性確保である。直取引先の先(Tier-n)で起きた課題を可視化し、早期対処できる信頼関係確立やエコシステム構築が重要取組課題となる。

レジリエンスの観点:
・全面的な在庫保有によるキャッシュフロー悪化には注意しつつも、重要部品の在庫保有や、マルチソーシング/デュアルソーシング化も考えていく必要がある。

問題は技術が利用できないことではなく、「何をより良くしたいのか」「より良い行動様式をどのようにデザインするのか」だ。IoTなどの技術要素は出現している。

パンデミックは新たなスキル・人材要件も浮かび上がらせたが、今後は、デジタル技術を使いこなせる人材に加えて、エンド・ツー・エンドの価値連鎖視点でサプライチェーン変革を部門横断、企業横断で進めていけるスキル・人材が重要になる。そのための新たな業務プロセス導入もありうる。

直面している様々な供給ボトルネックが短期的な課題だが、地球温暖化などへの対処も今後必要になる。超効率的なジャストインタイムのサプライチェーンに戻るのではなく、もっとレジリエントなサプライチェーンが期待されるのではないか。

※Holy Grailは「はるか高みにあるもの」「究極・至高のもの」といった意味で、デジタル企業のプレゼンなどで、最近使われることが多いように思います。

(なお余談ですが、10月13日のバイデン大統領ブリーフィングでも「"something called “supply chains”」という言葉がありました)。