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生産計画の不安定に悪影響を受けるサプライヤー支援と共存関係強化に聞き取り調査、その上で様々な対策を講じるトヨタ-日刊工業新聞(ニュースイッチ) (2022-02-21)

供給の不安定による買い手企業の生産計画変更からサプライヤーが苦境に陥る話題が報じられています。特に部材のすそ野が広い自動車業界で顕著で、2月17日にダイヤモンド・オンラインが「自動車部品大手に広がる信用不安、「3重苦の実態」を東京商工リサーチが解説」との記事を出したほか、自動車部品大手のマレリの事業再生ADRの一因にもなっているようです。
このような状況下、トヨタのサプライヤー支援策が参考となる記事になっています。ただし、「実際にはどうしたらよいのか」のより具体的内容の報道が現在は不足のようにも思えます。

■サプライヤーへのより深い実態調査と負荷軽減対策に乗り出すトヨタ
2月11日の日刊工業新聞は、工場の稼働調整が断続する中、昨年通達のトヨタ挽回計画への対応準備を進めていたサプライヤー各社が苦境に陥らないように、購買担当者による実態聞き取り調査を行ったことが報じられました。その結果として、挽回計画に合わせて事前準備したヒト・モノ・場所が負担になっていること、資材価格高騰がサプライヤーの利幅を圧迫していることが報じられています。

それに対して、市況変動分の迅速な購入価格転嫁、準備していた人件費や物流費をトヨタが負担することを検討しているとし、一時的には利益悪化しても、競争力を保ちつつ取引先と共存できる供給網の構築を目指ししているとしています。

■供給網の強化・盤石化に乗り出すトヨタ
一方で2月10日には、日刊工業新聞が、トヨタの供給網強靱化策を採り上げました。トヨタの生産計画精度は定評がありますが、現在の状況では変更が頻発してしまいます。それに対して、毎月、必要に応じ毎日、サプライヤーと最新の生産情報を共有していたことが指摘されています。これを実現するには生産計画と密接に連動した部品所要量計算システムが不可欠です。

加えて、1月26日の日経クロステックでは、トヨタが3日連続で1~2月の変更生産計画を変更したことが報じられました。変更生産計画をこまめに通達できるトヨタもすごいですが、これだけの頻度の変更に対応できるトヨタサプライヤーの能力も高い/連携の仕組みが確立できていると思います。

逆に、1月28日の日刊工業新聞は、日産が5年間の事業計画を出したが、それよりも直近の生産計画の不安定がまず重要とのサプライヤーの声を採り上げた記事を掲載しています。

参考)
トヨタが取引先の負荷軽減で一手、部品メーカーの反応-ニュースイッチ(2022年02月15日)
https://newswitch.jp/p/30877

“前代未聞”の資材高騰、営業最高益のトヨタは供給網を盤石にできるか-ニュースイッチ(2022年02月11日)
https://newswitch.jp/p/30818

トヨタ、3度目の生産計画修正 取引先への影響抑える-日経クロステック(2022年1月26日)
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/18/12096/

「世界生産1090万台」、トヨタが22年度計画を部品メーカーに示した狙い-ニュースイッチ(2022年01月27日)
https://newswitch.jp/p/30598

自動車部品大手に広がる信用不安、「3重苦の実態」を東京商工リサーチが解説-ダイヤモンド・オンライン(2022年2月17日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/e13c3838d8eacf8d3969873cea73aeab1c332de8
https://diamond.jp/articles/-/296565 (会員限定)

負債1兆円…コロナ・減産直撃で私的整理へ、旧日産系・マレリの行方-ニュースイッチ(2022年02月17日)
https://newswitch.jp/p/30903

EV覇権奪還へ…「日産・ルノー・三菱自」連合が3兆円投資も、部品メーカーは冷ややかなワケ-ニュースイッチ(2022年01月29日)
https://newswitch.jp/index.php/p/30636