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価格転嫁など下請け取引施策を3月に実施した後、そのフォローアップ調査をさらに大規模(15万社調査)に実施予定-日本経済新聞他(2022-02-28)

1月~3月は価格転嫁促進の「集中取組期間」と位置付けられていますが、それに併せて、特に2月10日の「第3回 未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」などでいくつかの発表が行われています(以下にまとめてみました)。これを受けて、3月に様々な施策が実施され、そのフォローアップがより大規模実施とのことです。エネルギーなどの価格上昇が顕著で、コストダウンとの板挟みにもなる購買部門ですが、下請け取引での一層の注意が必要となりそうです。

■価格交渉促進月間(昨年9月)の調査結果、および3月再実施
2月10日には、経済産業省が昨年9月に実施した「価格交渉促進月間のフォローアップ調査」結果を発表が発表されました。

調査結果では、回答サプライヤー企業の57%が申し込んだ価格交渉協議に親企業が応じたと回答したものの、コスト上昇分の価格転嫁を申し込み分の5割以上認めさせたのは半数程度でした。
しかし交渉の説明で納得できたサプライヤーは8割、すなわち価格転嫁交渉は、それなりに納得のいく妥結点に至っているようにも見えます。サプライヤーの申し入れに対し、適正な説明や交渉を購買部門が実施し、サプライヤーの納得に落とし込んでいる様子です。
しかし約2割が説明に納得していないとの回答結果です。

調査の後半は、業種別の結果の掲載です。そのなかには価格交渉していない業界も散見され、特定業種で偏りがあるようにも見えます。下請Gメンヒアリング収集したコメントも併記されているので、ざっと目を通してもよいと思えます。

そして同時に、価格交渉最盛期の3月にも「価格交渉促進月間」が再実施されることが、同日発表されました。前回の9月に続いての実施となります。

「『転注する』と脅された」…原材料費の上昇、中小企業「価格転嫁できない」2割、中小企業庁が調査‐ニュースイッチ(2022年2月25日)
https://newswitch.jp/p/31005

価格交渉促進月間フォローアップ調査 の結果について-経済産業省(2022年2月10日)
https://www.meti.go.jp/press/2021/02/20220210006/20220210006-1.pdf

下請け中小、2割が価格転嫁全くできず-日本経済新聞(2022年2月10日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA109AZ0Q2A210C2000000/

「価格交渉促進月間」(3月)の実施について(中小企業庁、国土交通省)-日本商工会議所
https://www.jcci.or.jp/news/trend-box/2022/0228120104.html

■取引適正化に向けた5つの取り組み
2月10日には「取引適正化に向けた5つの取り組み」も発表されました。
そこでは以下の5項目の取り組みが、より詳細な概要資料と共に示されています。

1.価格交渉のより一層の促進
①下請中小企業振興法に基づく「助言(注意喚起)」の実施
②価格交渉促進月間を3月にも実施
③下請中小企業振興法の振興基準の改正

2.パートナーシップ構築宣言の大企業への拡大、実効性の向上
①宣言企業全社への調査、宣言企業の下請取引企業への調査
②コーポレートガバナンスに関するガイドラインへの位置づけ、補助金によるインセンティブ拡充の検討

3.下請取引の監督強化
①下請Gメンの体制強化
②商工会・商工会議所と下請かけこみ寺の連携による相談体制の強化
③業種別ガイドライン・自主行動計画の拡充・改定

4.知財Gメンの創設と知財関連の対応強化
①「知財Gメン」の新設
②「知財取引アドバイザリーボード」の設置
③商工会議所、工業所有権情報・研修館等の関係機関との連携

5.約束手形の2026年までの利用廃止への道筋
①自主行動計画改定の要請(利用の廃止に向けた具体的なロードマップ(段取り、スケジュール等)の検討))
②2026年の手形交換所における約束手形の取扱い廃止の検討要請

加えて、2月16日に手形サイト60日化の要請も出されました。

「取引適正化に向けた5つの取組」を公表しました。-経済産業省(2022年2月10日)
https://www.meti.go.jp/press/2021/02/20220210006/20220210006.html

手形等のサイトの短縮化のさらなる促進に向けた要請を実施しました-経済産業省(2022年2月16日)
https://www.meti.go.jp/press/2021/02/20220216002/20220216002.html

■公正取引委員会が「優越的地位濫用未然防止対策調査室」などを設置
さらに2月16日には公正取引委員会が以下の2点を実施することが発表されました
-「優越的地位濫用未然防止対策調査室」の設置
-「よくある質問コーナー(独占禁止法)」のQ&Aの内容更新

「優越的地位濫用未然防止対策調査室」の設置等について-公正取引委員会(2022年2月16日)
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2022/feb/220216_1_YuuetutekitiiranyoumizenboushitaisakuchousashituNo.html

■4月に実施状況の大規模調査を実施予定
そして3月の下請対策の実施を受けて、4月に大規模調査を行う旨が2月19日の日本経済新聞で報じられました。昨秋の調査の3倍強の企業に調査対象を拡大し、悪質なケースの指導対象も拡大するとのことです。

参考)
価格転嫁、下請け15万社調査へ 経産省‐日本経済新聞(2022年2月19日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA16C960W2A210C2000000/