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温室効果ガス排出削減が求められる一方、低排出部材の価格が高騰してコスト増ーこの板挟みへの対応方策を示そう-Mckinsey (2022-03-09)

2月25日にコンサルティング会社のマッキンゼーが論考「グリーンを買うのは簡単じゃない。サステナブル調達で成功する方法(It’s not easy buying green: How to win at sustainable sourcing)」を発表し、注目すべき指摘を行いました。

■論考での問題意識
このような状況から「企業は気候変動の公約を守り、顧客の需要を満たすために価格上昇を受け入れるか、それとも公約を破るかの、選択板挟みになると思われる」と課題をまとめています。

もちろんこの課題は、購入価格に直接的に関わるものですから、「安く確実に勝ってくるように」とされる購買部門にも大きくかかわってきます。

それに対して、論考では先行企業の事例も参考にした長期的な5つの施策、そして直近に急いで取り組むべき3つのステップを示しています。

■長期的な5つの施策:
長期的に目指すべき以下の5つが示されます。

1)不確実性を管理するための市場洞察力の開発
 需給と価格設定の決定要素を明確にし、市場の動向を予測する長期的モデルの構築する。その上で常に最新データで稼働していく
2)戦略的かつ長期的なアプローチの策定と実践
 「サプライヤーの脱炭素化取り組みの支援(投資支援も含む)」「自社製品の材料配分調整」などの長期施策を検討し、実践する
3)材料ミックスの調整
 低排出材料を使うように自社製品仕様の切り替えを検討する

4)サプライヤーと提携
 出資などにより、サプライヤーの脱炭素化の設備更新などの施策を促進させる
5)サプライチェーンマネジメントにとどまらない新たな能力の構築
 分析・施策立案能力強化、製品設計やビジネスモデル変更など、従来のサプライチェーン管理を越えた能力を開発する

■直近に取り組むべき3つのステップ
しかしこれらの長期的施策を実施するには、現状把握などの基礎固めがまず必要になります。ではそのために急いで行う必要があるのはなにか? 次の3つのステップだと提言します。

ステップ1: 投入するすべての材料について、排出量、供給、需要、価格に関する基本的な見識を深める(まずは現状を正確に把握する)
ステップ2: 複数の時間枠で排出量を削減する調達戦略を立てる(1年後、2~3年後、そして10年後という3つの時間軸で採るべき戦略を立案する)
ステップ3: 低排出ガス品の調達計画の迅速な実施(ただし現在も取り合いになっている低排出ガス品については、早急に有利な確保策を立案・実践する)

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低排出ガス品の需要はますます増加し、それに伴う価格上昇がますます激しくなることが想定されます。それに対し「安く確実に確保せよ」とのプレッシャーがかかってくるのが、まさに購買部門と予想されます。その意味から、これは目を通しておくべき論考と思われます。