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購買部門主導で全方面の施策に対応できる、部門横断の変革司令塔を実現するための3段階のロードマップ-Mckinsey (2022-04-30)

コンサルティグ会社 マッキンゼーが4月8日に論考「Full-potential procurement: Lessons amid inflation and volatility」を発表しました。インフレと供給不全に対して、購買部門が採りうる全ての打ち手を繰り出して、部門横断的な変革推進室(司令塔)の役割を果たすにはどうしたらよいか、それがこの論考のテーマです。

そのためには、次の2項目の必要が説かれます。
1.事務面と技術面を部門横断で実施する、購買部門主導の部門横断な変革推進司令塔の設置
2.購買部門主導の部門横断な変革推進司令塔実現の3段階ロードマップ

1.事務面と技術面を部門横断で実施する、購買部門主導の部門横断な変革推進司令塔の設置
まず組織機能的に、事務屋(Commercial)、技術屋(Technical)、部門横断(Cross-functional)の打ち手(レバー)がもれなく実施できる体制・能力を備えることが論じられます。事務屋(Commercial)レバーとは、コスト決定要因をモニターし、価格・取引条件を、主に社外のサプライヤーと調整する機能です。一方、技術屋レバーは、社内部門と購入仕様や総所有コスト(TCO)といった技術的な側面を詰めていく機能です。そしてそれに加えて、全社横断の「部門横断的な変革推進室(司令塔)」の役割を果たしてこそ、フルポテンシャルを実現する、目指すべき購買部門になるのではと考えています。

2.購買部門主導の部門横断な変革推進司令塔実現の3段階ロードマップ
ではその実現にはどうしたらよいのでしょうか?次の3ステップが提起されます。すなわち、

ステップ1: 現状分析を行い、まずは直近の短期課題は片付けておく
そのためには
1).発生リスクを定量化し、対応品目の優先順位付けを行う
2).迅速な成果達成を行うための部門横断の司令塔を設置する
3).短期的な課題(供給・需要・在庫)に対応する打ち手を漏れなく実施する

ステップ2: 数か月先までの安定供給と値上げ要請への対応を図る
そのためには、
4).技術(Technical)、市場需要、業務プロセス、財務、事務(Commercial)の打ち手を漏れなく抽出する
5).不確実さが続いても、長期的に成果が上がる方法を定義する
6).長期的成果を達成する打ち手をすべて実行できる部門横断の社内協力体制を確立する
7).供給保証や価格維持を実現できる、サプライヤーとの戦略的協力体制を確立する
8).代替品(新サプライヤー、新供給地、改訂仕様、改訂材料)の探索プロセスを加速する

ステップ3:ニューノーマルに対応できるように組織化する
そのためには、
9).前述の課題解決の教訓から、購買オペレーティングモデルを改善する
10).今後のレジリエンス確保のための新システムとツールを導入する
11).購買部門に新しい人材を採用したり、新しい業務能力を育成する
12).迅速性とレジリエンスを確保できるように、購買統制と部門横断協業の仕方を再定義する

このようにして、購買部門で「新しいオペレーティング・モデルの確立(Institutionalize the new operating model)」が、いまこそ必要であることが、この論考では論じられています。
やや取っつきにくさもありますが、力が入った、着目しておくべき内容に思えます。