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ウォールマートでは、テールエンド・サプライヤーとの購買交渉はAIがお相手します-Harvard Business Review (2022-11-15) | ||
11月8日には「ウォルマートがサプライヤーとの交渉を自動化した方法(How Walmart Automated Supplier Negotiations)」が」掲載されました。 ※ハーバード・ビジネス・レビュー誌は、最近連続して購買/サプライチェーン系の記事を出しています。続けてですがご容赦ください。 論考によると、10万社のサプライヤーを持つウォールマートは、AIベースのチャットボット(Pactum AI)を使うことで「テールエンド・サプライヤー」との自動購買交渉の仕組みを開発し、その適用を拡大中とのことです。 ウォールマートではテールエンド・サプライヤーに人手対応となると、その人件費コストはとても見合わないとのこと。ゆえに20%の小口サプライヤーは交渉機会も持てず、ただ規定の契約書にサインするしかない状況にあったとのことです。また、対面交渉の場合にも、購買バイヤーが割ける時間には限りがあり、熟考や逆提案もなしの即座の契約締結になることへのサプライヤーの不満もあった模様。 それに対し、ウォールマートは89社のサプライヤー、5人のバイヤーなどで、まずは顧客に販売する商品以外の店舗什器などの購入で、AIベースのチャットボット(Pactum AI)を3か月間パイロット運用し、以下の結果になったとのことです。 ・サプライヤー: 自身のペースで購買交渉を行えるようになり、かつ逆提案もできることから、83%の参加サプライヤーが使いやすいと評価。 ・ウォールマート: 招待100社のうち89社のサプライヤーが参加し、取引成立社数も64%と当初目標20%を大幅に超過。さらに平均交渉期間は11日で、交渉成果として平均1.5%のコスト削減と平均35日の支払い期限の延長を達成 この結果、ウォルマートはシナリオとスクリプトの改良版を米国、チリ、南アフリカへと適用拡大し、利用サプライヤーの68%と取引を成立させ、平均3%の節約を実現しているとのことです。 また、このシステム導入から得た教訓として、次を挙げています。 1).概念実証段階をスキップしても、ビジネス本番への試験運用を早く行う(多くの企業では、概念実証から進まない事例が多発) 2).間接材カテゴリーと事前承認済みの限定サプライヤーから始める 3).具体的なトレードオフを明確化してシナリオ/スクリプトに組み込む 4).地域、カテゴリー、利用事例を徐々に拡大ししていく 購買交渉の最終形態は、人工知能(AI)同士が無人交渉して秒速で交渉決着するものと思います(チェス対戦事例に類似)。しかしまずは一つの進展した利用事例が報じられたと思います。 参考) Understanding Walmart’s Automated Supplier Negotiations-Forbes (2022年11月14日) https://www.forbes.com/sites/walterloeb/2022/11/14/understanding-walmarts-automated-supplier-negotiations (クリックすると、無料利用者は閲覧数カウントの対象になるので注意) |