2014年の憂鬱 ~ 購買部門の業績向上は限界に達しました
2014年5月発行のThe Hackett Groupのインサイトレポート「Five Characteristics of World-class Procurement Organizations in 2014」のエグゼクティブサマリは、以下のように記している。 ワールドクラスの購買組織は、平均的な購買部門に対して、2014年も引き続き大幅に優れた記録をあげた。19%も安いコストで高品質のサービスを提供し、要した工数も27%も少なかった。 しかし、ワールドクラスの購買組織の効率性改善は、...
Googleの購買は他社とは違うんだ!!
自社の購買業務は他社とは違うんだ...そんな求人をLinkedInに掲げている企業がある。Googleだ。 Googleは、次のように自社の購買業務の紹介を始める。 Googleは多くの他企業とは異なる購買/戦略ソーシングの取り組みを実践する。Googleは、機敏かつイノベーティブな企業であり、我が社のエンジニアたちは常に世界を変える方法を探している。Supplier Sourcingチームの仕事は、製品開発・製造に用いるサプライヤーを探索し、選定し、重要な取引をエンジニアたちが行う...
「購買部門はみんなの足手まとい」にどう対処するべきか
毎日の仕事に頑張っているのに、「最悪の足手まとい、最大の敵」呼ばわりされてしまったら、これほど悲しいことはない。 しかし、約2年前のHervard Business Reviewのサイトに投稿された記事は、近年見かけないくらいに辛辣に記述されている。記事の翻訳を以下に示すが、オリジナルのURLも記述するので参照・確認してみていただきたい。月3本まで無料閲覧ができる仕組みとなっている。 PricewaterhouseCoopersのオランダオフィスが実施した調査で明らかになったのは...
翻訳-CPO 出身のTim CookがApple社CEOになるために採った戦略(1)
Andrew Bartolini のブログ "CPO rising"で、8月~9月にApple社のCEO Tim Cook氏について、購買/サプライチェーン領域の経歴をもち、Compaq社のCPOから、Apple社のCEOになった人物として、幾つかの記事が掲載されました。その中で、Apple社のサプライチェーン改革についてサマリーした" The Strategies that Propelled Tim Cook from CPO to CEO”について訳出してみました。 なお、原本については...
翻訳-CPO 出身のTim CookがApple社CEOになるために採った戦略(2)
(Part2) 引き続き今日も、Tim CookがApple社で実践することで、彼がSteve Jobsの右腕になる手助けとなった戦略について見ていくことにしよう。1人のChief Procurement officerが、その購買とサプライチェーン領域での成果に基いて、CEOの役割にまで昇りつめたという、とてもクールな基本理由は、それだけで注目に値するものだが、それに加えて、なぜTim CookとApple社に注目しているかの理由を一度振り返っておこう。 1.ビジョナリーのリーダーであ...
Purchasing Must Become Supply Management (1)
Purchasing Must become supply Management Peter Kraljic (Harvard Business Review 1983年9-10月号) 翻訳:寺島 哲史 (第30回購買ネットワーク会を記念して) 多くの企業の購買部門が享受してきた安定した業務のやり方がどんどんと困難になっている。資源の枯渇や原材料の希少化、供給市場での政治的混乱や政府介入、競争の激化、技術変化の加速が、何の驚きも無かった時期を終わらせようとしている。 災害によ...
Purchasing Must Become Supply Management (2)
状況を診断する 供給戦略を必要とする企業であるかどうかは、次の2つの要素に依存している。(1)製品ラインへの付加価値、トータルコストに占める原料比率、収益性への影響度などの観点からの購買の戦略的重要性、(2)供給の希少性、技術および/もしくは 代替材料の進歩の速度、参入障壁、ロジスティックス費用や複雑さ、独占または寡占状態などで測られる供給市場の複雑性である。(図1参照)。 これら2つの変数から企業の状態を評価することによって、トップマネジメントと購買担当のシニアエクゼクティ...
Purchasing Must Become Supply Management (3)
優れたサプライ戦略を立案する 供給の脆弱さを最小化し、発揮しうるバイイングパワーを最大活用するために、いくつかの欧州企業では戦略策定の4段階アプローチをうまく活用している。このアプローチは単純だが効果的なフレームワークであり、市場および自社データを収集し、将来の供給シナリオを予測し、利用可能な購買オプションを識別するとともに、個々の重要部材のサプライ戦略を立案する。 このアプローチでは、まず対象企業の購入品の全てを利益への影響度と供給リスクの観点から分類する。次にこれらの購入品の供給...
Purchasing Must Become Supply Management (4)
サプライヤー製品の独自性:これは、本質的な希少性(ゆえにストラテジック品目や鉱物となっている場合がある)、高い適用技術のレベル(256K RAMチップの生産に必要な)、および/もしくは、R&D水準の高さや設備投資の過大さからの参入障壁と関連するものである。特有サプライヤーしか購入品を提供できない場合、代替供給源もしくは代替サプライヤーが登場したり、サプライヤー間の競争から購入コストが低減する可能性は低い。 年次購入実績量および将来の購入量増加予想:購入量は、購入企業がどのくらいのバ...
Purchasing Must Become Supply Management (5)
第4フェーズ:アクションプラン 3つの戦略的対応策のどれに位置づけられるかによって、購入量、購入価格、サプライヤー選定、代替購入品、在庫方針など購買戦略の個別要素への対応が異なってくる (図5参照)。 短期的には、サプライヤーの強みが購入企業を上回り、多様化戦略を要請されるストラテジック品目に対しては、分散している購入量を単一サプライヤーに集約して購入時の立場を改善するとともに、価格上昇を受け入れ、購入量全てを賄う一元的な購入契約を結ぶべきである。その上で、単一購入先に依存...